ころがる林檎
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「おじゃまします」
「んー……いらっしゃあ…」
眠たげな起き抜けの声。
早く来いと催促したメールは寝ながら打ったとでもいうのだろうか。
「……あー……眠い」
「寝不足?」
「んー…や…うん…」
いつ来ても誰も居ないこの家は、本当はお姉さんがたくさん居るらしい。
ただし、ことごとく年が離れているので いつの間にか外に家を構えたり恋人の家から帰ってこなかったりと在宅はまちまちだという。
夏休みともなるとほとんど帰ってこないと嬉しそうに笑った一日目を思い出す。
それも今日で終わるからか、ジェジュンの顔は浮かない様子だ。
寝起きのせいもあるんだろうか。
「……ねーえ、なまえ」
「うん?あーもう、髪ほどかないの、あ、はいこれ。このテキスト使いやすいらしいから、今日からこれやろ」
「……うん」
甘えた声をはぐらかしてテキストを押し付ける。
一ヶ月以上も同じようなやりとりを繰り返せば慣れるのか、ジェジュンが不満を漏らすことは無くなった。
申し訳なくもあり、それでも安堵する自分がまさに今ここに居る。
「……うん」
「ん?なに?」
「うん、はは、分かったあ」
「?はい、じゃあ…こっち座っ…!?」
「ほんっとー…なまえってワガママだねえ」
「ジェジュン、どい」
「ねえー…どうしたらおれのこと見てくれんのお?押しても引いてもだめじゃ、おれもーわかんないよ…」
笑顔が泣き出しそうだ。
また、見たことのない顔。
初めての夜見たのとは違う、だけど、どうしようもないくらい 男の顔。
「ほんとに好きなの」
「知ってるよ、ジェジュン、ねえ」
「ほんとに好きなの…はは、わかってないよ、なまえ」
「知ってるったら、お願い」
「お願いはもういっぱい聞いたでしょお」
口付けられるとタバコの味がする。
それは久しぶりの匂いと味で、私は初めて、ジェジュンがたくさんのお願いを叶えてくれていたことに気付いた。
逃げ込むことで精一杯の私がずっと見逃し続けていた、ジェジュンの優しさ。
タバコも
勉強も
信じさせてと言った私との未来のために、彼は我慢して
我慢して
なのに 私は