bye bye bye
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「ユチョン、あたしやっぱりホテルに戻るわ」
「なんで?」
「あんまり長い時間この部屋に居たら、誰かに見られてるかもしれないし…」
「…送ったらいいじゃん、ユチョン」
「あー…うん、んー…俺もホテル行きたい」
「…じゃ、先行くから…後から部屋にきて」
チラ、と俺を見てからあなたはユチョンに言った。
俺に言ったと誤解したくなる。
まだこんなに。
こんなに苦しいのに、そんな俺の目の前であなたはユチョンを誘うんだ。
当然のように頬にくちづけて、ユチョンがなまえを部屋から出す。
玄関まで見送りだけして部屋に戻ったユチョンは悪戯っ子のように微笑んで、俺に覆いかぶさってきた。
「どう、どうよどうよ」
「なに、可愛いだろって?」
「そうでもない?」
「いや、可愛いよ」
素直な目も
艶やかな髪も
唇も
あの頃のままだ。
目を閉じたら思い出せる。
「どこで見つけたんだっけ?」
「友達ん家。友達の姉さん」
「…そう、か」
浸ってしまいそうな俺に、ユチョンが嬉しげに続ける。
なまえのことを誰かに話したかったらしい。
「なんか仕事?かなんかでなまえだけ3年くらいアメリカ行ってたらしいんだけど」
「うん」
「帰ってきたらしくて遊び行ったらたまたまなまえも家居て、あー俺もアメリカ居たよーって話なって」
「ふうん…」
「なんか、アメリカ行く前は彼氏居たらしいんだけどさ、今はフリーだって言ってたから全力で押してみた」
「………」
「なんか寂しそうだったりとかするの…ほっとけねえーってならない?」
「……うん」
「前の相手のこと好きすぎて、離れて付き合うのに耐えられないって別れたらしくてさ」
「………」
「そういうの聞いたらもう、俺は絶対そんな思いさせないからとか言っちゃって…」
相槌すらうてなくなる俺を気にもせず、ユチョンがなまえのことを語る。
ユチョンの弁が進むにつれ、なまえが居なくなった時を鮮明に思い出してゆく。
ほんとうに急に、何もなくなった。
ある日急に、だ。
電話も繋がらず、家も知らない。
何もなまえに繋がるものはなく、ただ、感情のみで繋がっていた事を思い知った。
大人になったつもりでいた俺の、背伸びをしただけの子供の恋。
それに飽きたあなたに嫌われて捨てられたのだと、ずっと思っていた。
…あのときあなたは何を思って俺に何も言わず行ったのだろう。
分からないから俺は
恋しがって
苦しんで
憎んで
また恋しがって
今はまた苦しみの最中だ。
また憎しみに変わるかと思ったのにな。
あなたにもう一度出会ってしまった今
憎むなんてできやしないと思い知ったよ。