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けれど。
奪われたのは、まったく、別のものだった。
「……………」
「……………」
「〜〜〜〜〜!!!!」
「…っと」
「なにななななになに!!」
しばらく奪われたものに気付かなかった私の、ろれつが回り過ぎた口の中で、甘いチョコレートの味がしている。
突き飛ばしたチャンミンの身体との間の空気にはブランデーの匂いがして、また目が回りそうな気がした。
「おすそわけですよ」
「ななんでなんでなんでよなんで」
既に目は回ってるかもしれない。
とりあえず舌は回りすぎて自分でもわけがわからない。
「なんでとは?」
「なんでなんでおか、お返し、したのにちゃんとしたのにこんな」
「…お返し、ああー…。そういえばお詫びはまだなんじゃないんですかー」
「なんでおわび、なに、もう、なによなにしてほしいのなに、ああもう」
「あなたバレンタインの時、チョコの用意すらしてなかったでしょう」
「なな、なによなんの関係、よよよ寄らないであああ」
「事務所に置いたチョコ、あなたへのあてつけだったんですけどねー…まさか何も感じないで食べるとは」
「あああ、ちょっ待っ…」
「傷つきましたよー僕は…。あの時あれだけ言ったのに、…言うこと聞かないんだから…」
困ったひとだ、と間近に呟いたチャンミンの顔で輝いていたのは、回避しようとしていた…あの、目だった。
あの時?
どの時?
もう分からない。
とりあえず、今。
チャンミンのあの目を見たら
『何をされるか分からない』
じゃなくて
『何を奪われるか分からない』
という懸念も付け加えなければならないと
口から吹き込まれたブランデーの香りがグルッグルに回った脳内で、強く、強く思った。
ちなみに、グルッグルに回った脳内で、先月の座敷での惨事を思い出したとき。
チャンミン様のありがたいお説教が少しだけ蘇ったけれど…
『バレンタインは、僕にチョコを渡すように。手作りですよ。いいですか』
『作ったことないです〜…勘弁してください〜…』
『やる前から諦めるんですか!』
『ごめんなさい〜…』
『いいえ許しません!用意しなかったらそれ相応のものを頂きますよ!』
『ごめんなさい〜…』
『許しません!』
それ相応のもの、というのがチョコだったのか
唇だったのか
それとも…
それはやっぱり分からないまま
グルッグルの脳内は、恐ろしい考えを追求するのをやめて、その思考を閉じた。
END
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