ホワイトプランニング
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あとは冷蔵庫でしばらく寝かせ、その後、成形するだけ、という段になってやっと一息つくことができた。
チョコで汚れ、派手に散らかって見える給湯室をひとまず片付け、オフィスをそっと覗いた時も、チャンミンはまださっきと同じ体勢でいた。
そういう記憶が、私の頭にはあった。
なのに。
なのにどうしてだろう。
「………おはよう、なまえさん。よく眠れましたか?」
気がつけば給湯室の景色は見えず、目の前はチャンミン様のドス黒い笑顔でいっぱいだった。
「……!!!!!!」
驚きに声も出せず、私はのけぞって椅子から床に落ちる。
「あーあ…どうしましたか」
「わっあっえっ…」
「落ち着いてくださいよまったく…」
「あ………?」
目が回って認識が遅れたが、落ち着いて見れば給湯室だ。
なんだ、寝てしまったのか。
はあ、と息をついて立ち上がる。
「驚かさないでよ…」
「はい?驚いたのは僕のほうですよ?」
「え」
「起きてみればこんな時間で」
「ん?」
チャンミンに促され、時計をしている方の手首を持ち上げた。
ああ、やだなあ。チョコがこんなところにまで。
文字盤を軽くこすり、時計を見た。
…ああ、やだなあ。今リューズいじくっちゃったのかな。
変な時間を指している腕時計を諦めて壁時計を探した。
「現実逃避はやめてください。今は夜中の1時です」
「…………ん?」
「…………ん?は…こっちの台詞ですよ?あなた、チョコの一個作るのに何時間かかってんですか?」
じわりじわり、現実味が忍び寄ってきた。
チャンミン様がご降臨なされたせいだ。
今、私の目の前に。
やばい。ものすごくやばい。
警備のおじさん、起こしてくれればよかったのに…。
いっつも先輩たちが申請出さずにグダグダ仮眠とったりしてるせいだ。絶対そうだ。
いや今はそんなことよりも…
「…お腹、すいたんですが」
「はい!!!」
この、空腹という最大にして最高の屈辱に眉根を寄せていらっしゃるチャンミン様のご機嫌を直すのが先だ。
命に関わる。
私の。
「えっと…あ、チョコ!チョコ!ちょ、待って、あの、作って、固めてて、成形、まだなんだけど」
「いいから早くしてください」
「はいっ!!!!」
日本語が早口になられた!!やばい!!
命をどこに隠せばいいかと錯乱しながら冷蔵庫を開け、私は皿に乗ったチョコレートを差し出した。
まだ成形前でお菓子とは言えない形の、トリュフになる予定だった、チョコ。
「……これは、ウン」
「コじゃないから!!チョコ!!成形前で!ほんとは今から!」
「はいはい、いいですけど」
ハイは一回じゃないのか。
チャンミンはしっかり屈辱的な台詞を織り交ぜるのを忘れず、ひょい、と長い指でチョコをつまんで、口に運んだ。
私にとっては初めての
誰かのために作ったお菓子が、その誰かの口にしまわれる瞬間。