ホワイトプランニング
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なにかしら、もらいものか、そうでなくても買い置きのお菓子があったはずだ。
先週いくつか買って来たはずのお菓子を探して冷蔵庫や戸棚をあさる。
「あ、あった。はい」
しっかり給湯室までついてきたチャンミンに、エリンギの盆地、と書かれたお菓子の箱を渡した。
先週出たばかりの新製品だ。
内容的には既存のものとさして変わらないが、目新しさもあるし不都合ないだろう。
「市販品ですか。ふん」
「でもこれ、新製品だよ。はい」
「………」
「……、え、早くとってよ」
「………」
「いらないの?」
「…市販品ですか」
「作れと?」
「できないんですか?まあいいですけど」
「はあ…すいません」
「…できないんですか?…まあ、いいですけど!」
「あ、作ります、すいません」
チャンミン様の視線が人間以下を見る目になっていらっしゃった。
危ない危ない。
先月も酒の席で機嫌を損ねてこの目を見たんだった。
あの時はチンドンやってる先輩達についていけず
座敷の隅でつぶれて横になっているところに、遅れて来たチャンミンに踏まれ
無理やり起こされ、会話に付き合わされ、なんだか機嫌を損ねたのかさんざん説教を垂れられ。
そのうちにまた眠くなった私が横になったところをバカでかい体の下敷きにされ
朝までチンドンやってた先輩の誰にも見つけてもらえず、助けてもらえなくて。
命からがら巨体の下を抜け出した翌朝から一週間、『肉布団』と先輩達に呼ばれ続けたんだった。
『最近あまり眠れなかったのに、なまえさんのおかげで昨日はよく寝られました』
『パンダに抱きしめられる夢を見ました』
そう、例の可愛い笑顔でチャンミン様がのたまったのらしい。
ご機嫌を損ねた原因は忘れたのに、この目とその仕打ちだけは覚えているのだから恐怖心というのはすごいものだ。
私は慌ててエリンギの盆地を冷蔵庫にしまい、オフィスに戻って財布を握り締めた。
「えっと…下のコンビニ、行ってくるので…留守番を…」
「タレントに事務所の留守番させますか。いい度胸ですね。いいですよ。いってらっしゃい」
「あ、い、いってきます…」
ものすごく満足げな顔でチャンミン様は私の席にふんぞり返って見送ってくれた。
なんで一言、いってらっしゃいだけ言ってくれないんだろう。
言葉を交わすたび、くまなくプライドを足蹴にしてくださるチャンミン様に背を向け、私は事務所を後にした。