ホワイトプランニング
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「…………」
「………なに」
「…………」
「………なに、その手」
「ホワイトデー」
「は」
「バレンタインにチョコあげたんじゃないんですか」
「………は」
・・・・・・・・・・・・
ホワイトプランニング
・・・・・・・・・・・・
急な欠員から久しぶりの休みをつぶされ、一人事務所で待機していた私に、うちのバカでかい所属タレントが無言で伸ばした手。
バレンタイン、の言葉を頼りに記憶をたどってみるも…
彼からチョコなどもらった覚えはない。
「…もらってま」
「とぼけないでください」
「え、いやあの」
「食べたでしょう。ここに置いてあったチョコ」
「え、ご自由にどうぞってメモ貼ってあったやつしか」
「食べたんじゃないんですか」
「あ、あれチャンミンのですか」
ふん、と鼻息で返事をされた。
いやいやそんな、鼻息とか。
大体、ご自由にって書いて後から見返り要求とかもう詐欺みたいなもん…
「…食べたんですよね?」
「あ、はい」
「……………」
ん!と、また手を差し出される。
…この、チャンミンという男は。
いつもたくさんのスタッフに囲まれている間は行儀よく真面目で愛想もいい。
所属するチームの末っ子ということで、どのスタッフにも可愛がられ、そのたび愛くるしい笑顔で尻尾を振って返す、家庭のアイドル犬のような存在だ。
しかし。
「早く」
「いやあの…」
「早く」
彼のチームが事務所に所属した当時、私がスタッフで一番下っ端だったからだろうか…
私に対してだけ、彼はこうして遠慮なく横柄に接する。
今日のように人目が無い中で二人になると、それはもう顕著で、彼の目はまるで奴隷を見る時のそれだ。
家庭のアイドル犬に、家庭内ランキングで犬以下にされた存在。
それが今の私なのだ。
「聞こえませんか?早く」
「…はいはい」
「ハイは一回です。知りませんでしたか?」
「は!い!!」
仕方なく読んでいた雑誌をとじ、給湯室に向かった。
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