sister you are so beautiful
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いつから降り出したのか、朝になるともう今日は雨の日。
目覚ましとして鳴り始めてから、止めずにずっとかけっぱなしにしていた曲が心地よくてベッドから出たくない。
もう一度沈み込もうとした柔らかなシーツの海の中
しかし長い腕が伸びてきて、私の身体はゆっくり掬い上げられる。
「起きないつもりですか?」
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sister you are so beautiful.
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伸ばされた腕はなにもかもが長くしっかりしていて、腰に回されると簡単に体を一周した。
首の横に片手をついて覗き込む顔は眉を派手に下げている。
少し不満げでもあり、しかし口元はこの状況をいつもどおり受け入れ楽しんでいるようでもある。
「なまえ」
名前を呼ばれるとひたひたと充足感が湧き上がって、頭の重みのまま顔を横に向け目を閉じた。
部屋を満たす囁くような歌声の中、この手に任せて漂って浮いていたい。
幸せな眠りの回転の中、ずっと名前を呼ばれていたい。
「なまえ」
「………」
「なまえ…」
望みを叶えてくれる声は少しずつ体をなぞり
耳元へ
首筋へ
胸元へ
何度も何度も囁く名前が部屋を満たす歌と絡み合う。
抱かれた身体が安心に弛緩してゆく。
柔らかいシーツの海に浮く身体も何もかも そのがっしりとした腕に預け、意識が大きな回転を始めた。
「チャンミン」
呼ぶ声も夢と現の隙間にするする沈んでゆく。
それを掬い上げた彼が呼びかけた。
「なまえ、…ヌナあ…」
幸せな眠りを支える腕の頼もしさと裏腹、聞いたことのない甘えるような語尾が私の意識を鷲掴み、引き上げる。
瞼を押し上げると、派手に斜めを向いた眉の彼が笑った。
「起きないつもりですか?」
もう一度問いかけられて、首を転がし、鳴り続けているスピーカーの間、光るMP3の時計と日付を見る。
私はそこでようやく起こされたわけを知り、彼の頭を抱き寄せ言った。
「おめでとう、また一つ大人になったんだね…チャンミン…」
はい、と満足げに笑う彼の体重が胸元に心地よい。
しっかりとした髪に指先を潜らせて撫でた。
「まだまだ子供なのにねー…」
甘えて私にしがみつく彼のつむじに口づける。
「そりゃああなたにとっては何年経っても子供でしょう」
ヌナ、とまた笑った。
いつもと違う響きにくすぐったさが混ざる。
そうだね、と笑う私の身体は、しかし彼の長い腕の中。
出会った頃より昨日
昨日より今日
今日より明日
明日より遠い未来
たくましく
頼もしくなってゆくチャンミン。
それを見ていたい。
そして、ずっとこうして、幸せな…
「ずっとこうして、幸せな朝をたくさん迎えたいです」
指を絡めた彼は、私が今望んだことを全くそのまま言葉にして微笑んだ。
私は奪われた言葉を飲み込み、チャンミンのつむじにまた口付けて
チャンミンは、それを笑って受け入れて
柔らかいシーツの海の中
目覚ましは止めずに
二人、ゆっくりとベッドに沈んだ。
END
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