signal in the square
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そういえば去年も、この寒い中誰かに肩を貸しながら夜道を帰ってきた。
あの時呑んでたのは同僚の女の子で、連れて帰ってくるのも今より楽だったように思う。
今日は仕事の後の打ち上げで、こんな風になる予定はさらさら無かった。
それも、女の子ならまだしも…
いやまあ、色んな意味で女の子のような相手ではあるけれど。
家までの距離が去年より遥かに遠く感じる、重い重いお荷物。
「…ジェジュン、ちょっ、ちゃんと歩いて…」
「歩いてるもぉん…」
今や現場では彼の友人にも等しいとはいえ 一応、スタッフとして
仕事仲間である人を、荷物なんて言ってはいけないのかもしれないけれど…
多くのスタッフが一人、また一人と離脱していく中
私だけが彼のワガママに付き従い何軒ものハシゴを経て最後まで呑まされた事を思えば
数メートル先の自宅すら遠く見える今は 彼も荷物以外には思えなくて。
大きく、そしてやけに白いため息をついた。
・・・・・・・・・・・・
signal in the square
・・・・・・・・・・・・
「あー、なまえー、電気ぃ、ついたまんまぁ…」
「一人暮らしだからわざとつけてるの!ほら早く入って…」
「……しぇっまーい…」
「は?」
「しぇまい!!」
ようやく辿り着いた自宅。
ドアを開けたまま中に促しているのに、ジェジュンは動かない。
足らない舌で生意気にも部屋が狭いと訴えかけてくる。
そうですよ。
玄関からベッドとか見えちゃうし、10歩も歩けば用事も全てことたりちゃう、うちは貧乏なワンルームですよ!
「すいませんね!文句言ってないで早く…」
「あーつっかれたーぁ!」
「えっちょっと!!こら!」
自分が話をふったくせに返事もしないで、中に入ったジェジュンは家主に了解を得ずベッドに倒れこんだ。
ちょっと…まがりなりにも異性の部屋ですよ…
しかも、夜中の、ですよ…
「も、このまま寝っしょおー…」
枕を抱いて、幸せげに微笑んでいるジェジュン。
アルコールのよく染みた桃色の頬を笑顔にして、舌足らずな独り言までくっつけて…
…リラックスしすぎじゃないの!!?
女の子が異性の部屋に行くときは隙を見せちゃいけませんって、お母さんに習わなかった!!??
そこまで脳内で罵倒してから、ああ、この人、男だっけ。と冷静になったけれど。
冷静というよりは、少々冷酷になってしまったらしい私は
気がつけば、後ろ手に玄関の鍵を閉めていた。
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