chocolate and a cake
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PM 23:58
まったり酒の入った体重を壁に預け、正面に立つおれをピンクの唇が誘う。
ちなみにこの子はさっきの電話の子とは別の子。
待ち合わせたクラブは金曜だからか相当に混雑してて、全員と顔を合わせたあとフロアに出たら、電話の子はすぐに はぐれてどっか行っちゃった。
探す気もなくて揺れながら辿りついた壁際に、もう一人、電話には出てこなかった連れの子がいた。
「ほんとはねー、あの子よりあたしのがファンなんですよー」
電話の子よりは上品そうだと思ったのに、この台詞を聞いた時にはガッカリした。
女の足の引っ張り合いってコワイの。
別におれには関係ないけど。
もー、いっかな。
どうせ今は誰だっていい。
も、どーだっていい。
照明がぐるりと一周してくるたび輝くネックレス。
その横でさらされたままの肩にかかる、長くて色素の薄い髪を手持ち無沙汰に弄ぶ。
そのまま指を開いたら、なまえの髪とは違う、扇情的な匂いが漂った。
おれと壁の間、暗闇から見上げる周到な視線。
元はたぶんそんなに可愛くないのに…うまいなあ、メイク。
目が猫みたい。形だけじゃなくて…見上げ方とかも猫っぽい。
遊びなれてるこなんだなあ。
なまえと違いすぎて、なんかもういっそすがすがしい。
「髪、ながいのすきなんですかー?」
「んー……」
「ふーん…ふふ、のばしててよかったあ」
ほんと遊びなれてる。
照れたふり、うまいなー。
うつむくときの角度とか、すごい。うまい。
くすぐったいとこなんか少しも触ってないのに、くすぐったいって小さく笑ってる。
あ、そんなふうに体、よじったら、…あー、抱きつかれちゃった。
「…彼女、いるんでしょー…」
「………」
「…あたしも彼氏いるんだけど…」
そう言って見上げる時の目が「同類でしょ」と言っていた。