chocolate and a cake
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・prologue・
「みょうじさんごめんねー!これ明日要るから入力よろしく!」
「えっうそ!ちょっとなんでこんな溜め込むんですか!もう!」
定時を1時間前に過ぎたオフィスの中。
最後に帰ってきた営業さんに書類の束を置き去られて発狂の声が響いた。
その最後の営業さんも立ち去り、そもそも事務方が自分しか居ない今、私がやらなきゃしかたないとはいえ…
今日も、ユチョンと電話すらできそうにない。
不本意だけれど、謝りのメールをユチョンに送って携帯を閉じる。
システムを立ち上げながら指サックをつけ 書類の一番上を捲ると、ため息と共に数字を打ち込み始めた。
ユチョンと付き合い始めて3ヶ月。
実際ゆっくり会えたのって最初の1ヶ月の、しかも週末2日のうち1日ずつだけだった気がする。
すぐにお互い繁忙期に入って頻繁な連絡すら難しくなってしまった。
寝る前のメールも、もう寝てるかも…とか、朝は朝で、もう仕事かも…なんて遠慮してしまってなかなか送れない。
ほんとは今すぐにでも電話して、フニャっと眠そうなあの声で励まされたいのに。
「…はー…」
手元の束を終えたとしても、まだまだ明日までに片付けたい雑務は残ってる。
楽しみでもないと最後までたどり着ける気がしないので、連番の数字を無理やり何かに結びつけて楽しみを探した。
これはー…ユチョンが好きだった数が入ってる。
こっちの数字はユチョンが今好きな数が。
この数字はユチョンの携帯の下4桁と同じ。
この数字はユチョンと…
…ああ、楽しみなんて。
ぜんぶ、ユチョンだ。
こんなに会えない日が続いても
どんなに忙しくても
驚くべきことに、私の頭からユチョンは出て行かない。
毎日毎日、ユチョンのことばっかり。
仕事ばかりの毎日だって、ユチョンが居るから充実してると置き換えられる。
それを伝える時間すら少ししかないのが、とっても残念だけれど。
ため息をもう一度ついて、数秒止まっていた指をまた紙に戻した。
この数字の末尾はユチョンの誕生日の二日前。
そうすると次はユチョンの誕生日の一日前。
出た、ジャスト、ユチョンの誕生日…
…そういえば。
視線をモニタからはずし、壁のカレンダーを見る。
一週間後の日付。
その数字を見て、私は一人笑みをもらした。
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chocolate and a cake
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