good fortune.
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
薄い明かりを枕元につけて、チャンミンは本を読んでいる。
肘をついた左腕に端正な横顔を乗せた彼を、隣の枕からじっと見つめた。
「…起きたの?」
本から視線を動かさずに聞く彼に、少し驚いた。
でも不快感はない。
彼が夜の空気に馴染む声を選んで話したのだろうことが伺える。
せっかくの空気を壊さない自信がなくて、声を出さずにうなずいた。
その返事に何か反応するでもなく、チャンミンの目は本の上から動かない。
それだけでいい、と、充分幸せだ、と思う。
まどろみの中でも確かな意思で見つめていた。
そのうちに彼の右腕が動く。
ちょうど私が入れるだけの高さに浮かせた腕の先で、大きな手のひらが私を招く。
私だけの場所。
彼が作ってくれた、私だけの隙間。
そこへ入っていこうとたった数センチを這ってゆく。
降りてきた腕が、残りの数センチを縮めてくれた。
彼の肩から胸元にかけての熱が額に心地よくて、目をとじる。
私の髪をすく指が優しい。
ああ
満たされた。
足の先からてっぺんまで安堵した私はチャンミンの腕の中ですうと息を鳴らす。
まどろみが大きな回転を始めたころ、遠くに彼の声が聞こえた。
「…寝たの?」
そっけない声に、けれど答えず、私はまどろみに身を任せる。
そして
覚醒の最後の最後
意識のほんの裾の方で
彼が呟いた。
なまえ
あいしているよ
夢に入る直前の言葉は、幸せな物語を始めるように私の夢のページをめくった。
END
1/1ページ