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「っしゃっせこんっちわー!」
投げやりな挨拶と自動ドアの軽快な音に出迎えられ、私は雑誌のコーナーに駆け寄った。
案の定、新しくなっている表紙。
走ってきたからではなく胸が高鳴った。
なにもありませんように、と祈りながら、『東 方 神 起』という文字が無いか、見出しを凝視する。
皇室ご一家…
元総理の息子…
レッドカーペット…
なんたら健康法…
騙された!私の貯金を返して…
「…………ない」
見出しを上から読んでいく限り、該当の文字は見当たらない。
目次も探してみたが、それらしい文字は無かった。
ほお、と顔をあげ、なんとなく気持ちが落ち着く。
もちろん女性週刊誌はこの一冊だけではないとはいえ、ひとまずあちこちに書きたてられるようなおおごとにはなってないようだ。
買う必要もなさそうなので、大事に売り物として棚に直し 悠々と店内の物色を始める。
ほっとしたし、帰ったら寒いだろうからなにかあったかいもの買って行こう。
レジ横でセルフサービスの器をとり、薄く湯気の立つおでん用の機械にトングを入れた。
「はいありがとざいまーす、ちくわぶいってーん…大根いってーん…卵…」
これでもかというくらいツユだくの器を見ながら、レジの店員がメニューを一覧から打ち込んでいく。
あつあつのおでんを開ける自宅のテーブルを想像して、待ちきれない気持ちを抑え、私は店を出た。