When become a hero, now
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「なんもしてねーよ、なに、むしろあんたがなに、カンケーないっすよね」
「…いや……、彼女ぉ、泣いてるんじゃないすか?」
「はあ!?聞こえませんけど!?」
「なに、何人?あんた!何語!?」
笑い混じりの3人に控えめな声で異を唱えるヒーローは、ニットの帽子、はみ出した金髪にパーカーとクラッシュデニムで。
ああ
帰ってきてくれたんだ
そう思うだけで私は、絶望的な心細さからすくわれた心地でよけいに涙が溢れた。
「…泣いてる…んですよね…」
「泣いてるからなんだよ」
「知ってる人?違うよね、おれら友達なんでほっといて」
「日本語ワカリマスカー?あんた関係ないの!わかる?」
彼の日本語が拙いのは、3人にも私の耳にも明らかだ。
彼がけげんそうに私の顔を見る。
見捨てられたくない。
その一心で私は必死に声を絞り出した。
「…っ、うっ、たす、たすけ、てくださいぃ…」
うわずった声で精一杯の懇願を伝えた時、溢れた涙でにじむ彼の顔が、明らかに変わった。
「泣いてるじゃん」
「だからなんだって!」
「っせーなもーいいからあっち行けや!」
突然態度を変えて口々に罵り始めた3人が私から離れ、後ろに佇む彼へと威圧感たっぷりに近づいていく。
壁を頼りに立っていた私の足から力が抜けて、そのまましゃがみこんだ。
3人を引きつけながら後ろに下がっていく彼が、手の甲を太ももの横で振っているのがよく見える。
逃げろという合図なのは分かっているけれど、そもそも逃げられないからしゃがみこんだのだ。
もはや首を振るしかできない。
彼が、あーあという顔をした。
3人は邪魔されて頭に血が昇っているのか、日常あまり見ないような悪辣ぶりで彼を取り囲んでいる。
きっとこの状況はとても危ないのだと分かるけれど、どうしたらいいのだろう。
右を見ても、左を見ても他に誰も通る気配は無い。
「なあ、お前なんか関係あったか?ねえよな」
「なにしゃしゃってきてんの?なあ」
「空気読めないんですかあー?」
後ずさる彼が逃げようとしているのか立ち向かおうとしているのか分からない。
どちらにしてもきっと私は逃げるべきで、でも足が動かなくて…頭くらいはもっと軽く動いて欲しいのにどうしようもなくパニックで…
そうしているうちに気付く。
今なら警察が呼べる。