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あぐらをかいた膝にノートパソコンを乗せたチャンミンが、時折うなっている。
「…重いの?どけたら?」
「ぶはっ」
通りすがった私がかけた言葉に吹き出した。
「おもっ、重いせいじゃないです…」
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眼鏡の中で下げた目尻の上、りりしい眉を寄せて笑っている。
じゃあ何、とたどりついたキッチンから聞く私に、笑顔のままの顔だけ向けて答えた。
「作詞を書いてますよー…」
詞?と一度そのまま返したあと、ヤカンを火にかけてからチャンミンの隣まで戻ってもう一度聞いた。
「詞?」
「はい、歌の…」
「何語で?」
「…日本語です」
着崩したスエットの上の画面を覗き込むと、見ちゃだめ、とモニタを閉じられてしまう。
「どうしてよー」
言い募る私。
見てみたかったのだ。普段感情を言葉にしない彼が何を考えているのか。
日本語で探す彼の気持ちが、どんなものなのか。
「なまえには秘密です」
「ちょっとだけ」
「うるさいなー、お茶が出来たら見せますよー」
しっし、と手の甲を見せて振る。
もう、と口を尖らせると、物凄く楽しそうな顔で「ブサイク」と指をさされた。
もう一度、もう、と今度は強めに繰り返して、肩を軽くはたいてやる。
なんてことするんだと眉を下げる、チャンミンの大げさな顔を笑ってから隣を離れた。
「ほっといてあげるから、お茶入れたら来てよ?」
本当はパソコンをどけて彼の膝に転がりこみたい。
そんな欲求を抑えて、余裕の言葉を探した。
はーいと良い返事をする彼の後頭部に向かって、「鈍感」と口の動きだけで罵倒しておく。
沸いたヤカンの火を止め、カップを温める間、彼を眺めた。
後ろから見る姿だけで分かる 広くなった肩。
長くなって首筋を隠す明るい色の髪。
縦にたくましい筋を伸ばす背中。
全体に、出逢った時より男らしくなった。
初めて見た時はまだもう少し華奢で、顎から耳にかけてももっと幼くて…
どこからどう見ても、子供だったのに。
目元は今でも甘いけど、その頃のチャンミンの顔の中で輝いていた目は数段甘かった。
今では甘いだけじゃなく疲れを滲ませている時も少なくない。
言葉にしない疲れや辛さを秘めた彼の目を見るにつけ、つくづく大人になったなあ、と思う。
今がそんなだからだろうか。
昔はもう少し感情を言葉にしてくれていた気もする。
少なくとも、まだ日本に来て間もない頃、彼だけ宿舎を抜け出したあの日はそうだった。
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