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携帯の充電が切れたのは、一瞬彼女の名前が浮かび上がってからだった。
飛び起きたおれをジュンスが反射的に見て、なまえ?とおそるおそる聞く。
マネージャー以外全員が仮眠をとる車の中。
頷いたおれの掌の、光を失くした携帯を見てジュンスは運転席に懇願した。
「早く!早くしてあげてください!」
「うわ、どうしたジュンス、寝ぼけてんのか?」
「いいから早くぅ!」
ジュンスの声で3人も目を覚ます。
けれどおれが泣いてるのを見たら、誰もジュンスを止めようとしなかった。
なまえ
その名前を呟いて
おれはあの時唇に隠した言葉の感触を、舌先で確かめ、また泣いた。
「ジェジュン?大丈夫か?」
「うん」
「ジェジュン、部屋に居るから…なにかあったら呼んで?」
「おやすみなさい、ジェジュンヒョン」
宿舎に着くなり部屋に向かおうとしたおれに、ジュンス以外はみんな声をかけていく。
ジュンスだけは、ただ視線を合わせてすがるように見つめた。
おれは、ありがとうとだけジュンスに言って部屋に入る。
「ジェジュンは…元気なりますか…」
「俺に聞かれても」
「なりますよ。あなたも寝てください」
ドアの向こう、ユチョンとチャンミンに投げかけられたジュンスの言葉におれはごめんなと呟いた。
心配をかけてすまないと思う気持ちもそこそこに、急いで充電器を取り出し、携帯の電源を入れる。
光を取り戻した携帯は一度真っ暗になって、次に明るくなった時には2つの表示が画面に出ていた。
着信あり
録音あり
反射的に着信を確かめてから、はやる気持ちのまま録音も確かめる。
事務的な案内の声
機械的な案内の音
その後に
『ジェジュン?なまえです。久しぶり。………えーっと…また、かけます』
懐かしい声。
ずっと
ずっと待ちわびた、なまえの声。
おれの記憶の中の声ではない事実におれは歓喜した。
指先がはやる。
うまくボタンが押せない。
滑り降りていくプルダウンのリストから、おれは探し慣れた名前を見つける。
なまえ
もう二度とかかってこないと思っていた。
もう二度とかけられないのだと。
やっと許された気持ちで、ボタンに指をかける。
雑音
コール
コール
コール
そして
『…もしもし?』