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夢小説設定
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鳴らない携帯には、おれが選べばかけられる番号がある。
なまえの名前を選んで、もう何度も見たために覚えてしまった番号をまた見つめた。
あの日からかかってこない番号。
かけることは、できない。
「時間です、入ってくださーい」
「はーい…」
「…ジェジュンヒョン、ほら」
今日はあと何度収録があるんだっけ。
ラジオはいつもまとめ録りで、もういつのものを録ってるかも分からない。
言われるまま中に入って、チャンミンの回しに流されるまま、思いつきの相槌で時間の流れを促す。
どれくらい繰り返したら今日一日は終わるだろう。
その一日をどれくらい繰り返したら、おれはなまえを忘れるだろう。
「今日は、僕ユチョンのオススメの曲なんですけども…」
「はいー…」
二人の会話が遠くへ行く。
手元におかれた台本を視線でなぞった。
曲のタイトル。
3つに区切られた数字。
遠くへ行った二人の会話より、もっと、もっと遠くから近くに帰ってくる会話。
『ジェジュン!ジェジュン!ちょ、イヤホンはずして!』
『んー?』
『今の曲なに、めっちゃかっこいい』
『なにぃ』
『いま歌ってたやつ』
『どれ?』
『いまのいまの!』
『…どんなの?なまえ歌ってよ』
『いやいや!歌ってたじゃん今!』
『わっかんない〜…どの曲ぅ?』
『うそつき!今歌ってたじゃんって!』
『どんなぁ…歌って、ほら、早くぅ…』
『なんか…わーとぅせわーとぅせーーいみたいなの!』
『はっはは!!なんでそっこ!』
『そこしかわかんなかったもん』
『しかも、へ、へったくそ…!!はっはは!?』
『だからジェジュン歌ってって言ってんじゃん…!』
今はもうここに無い会話と、流れてもいないメロディーが脳内に満たされる。
聞きたくない。
聞きたくない。
聞きたくないのに
ああ。
君がねだるから
おれはまたあのメロディーを
なまえ
君は
もうおれを忘れた?
なまえ
君は
寝る前に泣いたりするの?
携帯が鳴るたび、おれの名前を祈ったりするの?
こんな滑稽なおれに
なまえ
お願い、どうかもう一度
君のへたくそな歌を
歌ってとせがむ無邪気さを
なにもかも
今はもう
なくしてしまった、君という存在を
返して