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失って何日経ってもそれを実感できない。
まだ待っていればかかってくる気がして、おれは携帯を掌に握っている。
愛してる
その言葉を用意して。
・・・・・・・
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・・・・・・・
ずっと、手を伸ばせば届く距離に居た彼女に、おれはそうしなかった。
恋人ができたとなまえがはにかんで言った日からどれくらい経ったろう。
まだ携帯を手放せないでいるおれの手に、ジュンスがゲームのコントローラーをねじ込んでよこす。
「……………」
宿舎に居る間のほとんどをリビングで過ごすのは泣かないためだ。
気を使わせて悪いと思いながら、おれはみんなに甘えてしまってる。
こんなに長い時間おれが落ち込んでいるのは珍しい。
今まで知らなかったことだが、誰かを忘れられないで過ごす時間は恐ろしいほど長く、おれにとっては1ヶ月は半年に、半年は10年以上にも感じられる。
コントローラーを手に、条件反射で動く指。
画面の中の鮮やかな色の群れ。
同じ時間を共有しているはずなのにジュンスとおれでは恐らく時間の流れが違う。
淡々と動く画面。
進んでいく空想のゲーム。
なのにおれはずっと現実に吹き溜まったまま。
そうしているうち、いつものごとくジュンスからの視線を感じた。
表情は振り返らなくても分かる。
「…だから、なんでお前が泣きそーなの…」
画面から視線をはずさないまま笑うおれの顔を、ジュンスがいっそう痛々しげに見た。
「ぼくが困った時はジェジュンヒョン助けてくれるのに…」
「なにぃ」
「僕は助けてないですよぅ…」
「…………っはは…」
遊んでくれて助かってるよ、と。
そう言わなければいけなかったのに
おれの口は案外正直で、はは、と苦く笑うしかできなかった。
傷つけまいと頭を撫でてごまかすのが精一杯だ。
ああ
ああ
おれはあの時だって
言わなければならないことを言えずに
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