lovable first
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
街頭に
駅の傍に
雑誌の中でも
明るい緑を見るたびに、今でも思い出す、初めての時のこと。
そんな時、ごくごくわずかに、自分の中にあの頃の空気が匂い立つ気がして
首から下に ぎゅう、と切なくこみあげる懐かしさ。
「ユチョン」
あなたは私の
・・・・・・・・・
lovable first
・・・・・・・・・
一階の教室の窓の外、中庭の木が柔らかな風に揺れている。
私はいつもそこで、向かいの校舎からやってくる人を待っていた。
パク・ユチョン。
同じ学年なのにそうは見えない、薄く笑みを浮かべた柔らかそうな頬が動くたび
呼ばれた自分の名前に胸を躍らせたものだった。
「なまえ」
薄い制服のシャツ、その中で踊る胸を私は自分で押さえた。
日の匂いを連れてやってきた彼が、私のもたれている窓に顔を乗せる。
「みんなは?」
「先行った。ユチョンが遅いから」
「ふーん、冷たいな」
「ユチョンがテスト受けないからでしょ」
真面目になれないんだもん、と悪びれずに笑う顔が中庭の緑に映えて輝く。
さっき生徒指導室に呼び出されていったとは思えない屈託のなさ。
コの字型の校舎でここから向かい合わせになった生徒指導室まで、彼はいつもこうして近道を通っていた。
そしてやはり悪びれずに 上履きのまま出ていた中庭から窓に身を乗り出し教室に入る。
椅子に座って窓枠にもたれている私の肩をくすぐる、茶色く透けた髪がいつもより乱れていた。
「髪、ぐちゃぐちゃ」
「色戻せって怒られちゃった。髪ぐっしゃー掴まれて痛かったー」
バタ、と大きな音を立てて着地した床で、壁に沿ってずず、と座り込む。
柔らかな髪を両手でぐしゃぐしゃと混ぜて、毛先を指に巻きつけては四方に散らしている。
「ね、みんな何時に行った?」
「えっと、ユチョンが出てってすぐかな」
「うっそもう1時間くらい前だよ?飯終わってんじゃん」
「お昼食べ終わったら駅前のカラオケ行くかもって言ってたよ」
「まじか。俺、携帯電池切れてんだけど。なまえ、携帯は?」
「家」
「どんだけまじめなの」
「だって一回没収されてからずっと先生に見張られてんだもん」
「しつこいもんねー、せんせー」
担任のベタっとした髪型を示唆して、ユチョンが頭の上でねっとりと手を撫で付ける。
「ワックスとか いらねー!みたいなね」
「ふふはは、キモい!」
私が笑うとユチョンも笑う。
さっきまでの同い年らしからぬ大人びた笑みじゃなくて、目尻を下げた子供みたいな顔。
ああ。
この顔に弱いんだ。
無意識にまた胸の辺りに手をやった。
1/4ページ