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不快なほど途切れ途切れの声で、けれど清々しい幸せを彼女は急に口にした。
泣こうとしていた目を開くと、さっきのせた手のひらが覆いかぶさっている。
その手のひらに糸が残っているか、近すぎて見えない。
「…なまえ?」
『…早く、ユノ』
「なまえ、なまえ?僕は、…なまえと居て、いい、の?」
糸は、この手のひらにまだ
…あると思っていいの?
『…いいの』
「…っ待ってて、待ってて、なまえ」
僕は携帯を顔から離して決定ボタンを押した。
ヨボセヨ、と不機嫌そうに声を叩きつけてくる女に、とてつもなく早口で言い放つ。
「もうかけてこないでくれ、電話」
『はあ?』
「僕の恋人はお前じゃなくて、なまえって子なんだ」
『…ちょっと』
「選択肢、僕は間違えたくない」
『………』
「もう間違うなよ、お前も」
返事を待たずに、じゃあなと告げて通話を終わらせた。
自分勝手な男だと、薄情だと思われても構わない。
なまえ以外の女に何を思われたって、どんな評価をされたって構うものか。
僕はなまえの声を求めて携帯に耳を近づけた。