I spill milk
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「やったー!!」
「あー……」
またジュンスがユノに勝った。
もう二試合ほどこの光景を見ているが、なまえはまだ出てこない。
二人はとっくに食べ終わって皿を片付けているのに。
恐らく食べ頃だろう熱さの皿の向こうに、ジェジュンと俺の部屋のドア。
ジェジュンが起きなくて困っているんだろうか。
それとも、食べさせてやってる?
いやそれはない。
さっきのジェジュンの元気そうな様子からしてそこまでの重症ではない。
まさか。
まさか。
…ジェジュンはさっき仕入れた最新情報を嬉々として語っていたりしないだろうか?
もしかして熱に浮かされてバカになった頭で、俺の事を気遣って勝手に告白代行などしていないだろうか?
血の気が引く心地で立ち上がる。
そして部屋に向かって歩こうとすると、ユノが「どうしたどうした」と制止した。
「なまえ遅いなーって…」
「そかあ?」
言いながら今見ていた部屋の上に飾られた時計を見る。
やっぱりもう10分は経っている。
遅いよ、ともう一度言おうとすると、時計の下のドアが開いて空のお盆を持ったなまえが出てきた。
「ほら出てきたあ」
ユノがなぜか安堵したふうに笑う。
制止する手が下がったので、リビングを横切ってキッチンに向かうなまえについていく。
「なまえ、ありがと。…ジェジュン起きた?」
「うん、さっき起きてご飯食べてるよ」
お盆を置いて笑い返すなまえの様子がさっきとあまり変わらないので、やっと安堵する。
余計な話はされてないようだ。
でもよく見ると、耳がちょっと赤い?
「あ、あれあたしのぶん?」
見ている俺に気づいたのか、リビングを指差して、もう片方の手で俺の肩を叩く。
「ん?うん、一緒に食べるかなーと思って」
「食べる食べる」
ありがとう、と言うとそそくさとリビングに出て行った。
なまえの隣に腰掛けて、ユノとジュンスのゲームを観戦しようと腰をおろす。
しかしすぐにユノが負けて終わってしまう。
あ~あ~と笑う俺の横で一緒に笑っているなまえに、ジュンスが思い出したようにごちそうさまと声をかけた。
「おいしかったですよー!」
「え、いえいえとんでもない!」
「ジュンスはなんでも食べるから」
横に手を振って恐縮するなまえに俺が冗談で答えると、ユノもそうそうと笑った。
出た、さりげなく失礼。
なまえはユノを見もせず うつむくだけだ。
「おいしいよ、ほんとに」
傷ついたのかと思って慌ててフォローを入れるがまだ俯いている。
耳がまた赤い。
「ジェジュンのと変わらない、おいしかたよ」
ユノの微妙なフォローが後に続いたが、なまえはハハ、と笑うだけ。
心なしか、余計照れているようにも見えた。
…なんだ?
やっぱりなにかあったのか?
「なまえ?」
「んっ?んっ?なに?」
小さく話しかけただけなのに反応が過剰だ。
いぶかしげに見ていると、急に驚いた様子になる。
「あっ!あー、あの、あたし帰らないと!ごめんユチョン!」
「はっ?」
「用事、あったの忘れてた!みたい!」
みたいってなんだ。
皿を置いて立ち上がるなまえを追って俺も皿を置いた。
なまえがさっきまでバッグと一緒に放置していた携帯を確認して、大変大変、と空言のように言う。
さっきまで放置だったろうに。
なんだこの感じ。
慌てるなまえを見送ろうと立ち上がって、口々に喋る二人の声で起きたのか、ジェジュンが部屋から出てきた。
ユノが大丈夫かと傍に行く。
「あれ、帰るの?」
ユノの肩に手を添えたジェジュンに声をかけられて、なまえが振り返る。
「あのっ…はいっお邪魔しました!」
その耳がさっきより熱そうに火照っている。
それを見つめる俺の視線に気づいたのか、慌てて耳にかけていた髪を下ろし、隠した。
「そか、ありがとね~。ごちそさま」
「いえっおそまつさまです!あの、お邪魔しました!」
ジェジュンのお礼にもまたなぜか敬語で返して
かと思えば二人をチラチラ見ながら玄関に競歩かのような速さで進んでいく。
間違いなくおかしい。
「下まで送ってくる!」
俺は3人に呼びかけて、ドアをくぐるなまえを追った。