I spill milk
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薄暗い部屋からリビングに出ると、ジュンスの横にユノが座っていた。
手にはコントローラー。
「なにしてんの?」
「ジュンスが一緒にしろてなまえちゃんのジャマして…」
「あ、ごめんねー、あたしがジュンスくんの相手お願いしちゃって」
「いいですよー」
俺を見つけたなまえがキッチンから顔を出して謝る。
いいですよと答えたのは、まとわりついてジャマをしただろう張本人のジュンスだ。
それにしてもユノと二人にしてしまったとあんなにヤキモキしたのに、ジュンスとゲーム。
嬉しいやら悲しいやら。
とりあえず、ジェジュンが呼んでるとユノを部屋に促す。
ユノの後姿が移動するのを見届けてからキッチンに入った。
「どう?」
冷蔵庫にもたれて、なまえの横に立つ。
「たぶん、大丈夫…たぶん」
必死だ。
その顔を見たら不安もどこかへいって、むしろ笑いがこみあげてくる。
それを噛み潰して、手伝おうかと聞いた。
「あーでも…大方できることはやってもらっちゃったしなあ…ユノに」
真剣な顔を少しほころばせて、だからいいよ、となまえが言った。
俺はその表情に痛感する。
やっぱり卑怯な作戦はダメだ。
どうやら見ている限りでもなまえの手際は悪くない。
たぶん普通だ。
ユノも料理をするわけではないから、きっと何をアドバイスするでもなく手伝っただけになったのだろう。
そして結果、なまえからユノへの好感度を上げてしまった。
馬鹿か俺は。
意気消沈して冷蔵庫にさらにもたれる。
と、ジュンスが呼びに来た。
「ユノの代わりやるっ?」
正直に相手をして欲しいと誘えないのか。
とはいえ、ほんとにやるせなく立場もないので、なまえに目配せして許可を得るとジュンスの隣に座った。
「~~~♪」
「…ジュンスウ~」
「なに?」
「楽しそうでいいなあ~…」
ジュンスは「楽しいのダメですか!?」と笑ってすぐにゲームに熱中する。
うらやましい性格だ。
ため息をつくと、ユノが部屋から出てきた。
「なにしてんの」
「ジュンスが相手しろて…」
さっきのやりとりを立場を逆に再現する。
ユノはそうかそうかと笑顔で俺の頭をクシャと撫でて、手からコントローラーを奪った。
「ジェジュンは?」
「寝た。ご飯の時起こしてって。すぐできる?」
「さあ…」
「見てきて」
「あー…」
用無しと言われてジュンスの相手をしていたのにまた戻るなんて、なんてやるせない…。
でもジュンスは相手が誰でも構わない様子だ。
ジュンスにすら俺は用無しなのらしい。
とぼとぼキッチンに戻ると、なまえが鍋の前でまた、絶望的、という顔をしていた。
「ユチョン…」
「なに?どうなったの?」
コンロを見ると、大きめの鍋に大量の雑炊。
味を見ながら薄めたりしていくうち、量が増えたので鍋を大きくした、と説明された。
「…ジェジュン食べきれないよね!どうしよう!」
「…ふは!!!!!」
俺は耐え切れず笑ってしまった。
こんなアホな事になんて真剣な顔で悩むんだこの子は。
もう自分はダメだと思いすぎて何もかもネガティブなのに違いない。
悪いけど、そこが面白くて仕方ない。
「もう小さい器に盛ってごまかすしかないよね!後はジェジュンが見る前にみんなで食べてね!」
「ははは!多い!無理!!」
もはや何から助かろうとしているのか分からないなまえの、暴走したポジティブシンキングに笑いが止まらなくなる。
しかし早くジェジュンに持って行こうとなまえが急かすので、とりあえず器を探すなまえに付き合った。
雑炊を盛った皿がスプーンと共にお盆に乗せられる。
水と薬も乗せたそれを持ったなまえが
「ユノに渡してくるね。みんなのぶんもよろしく」
そう俺に指示してリビングに行った。
が、人数分の皿に雑炊を盛って顔を上げると、リビングになまえは居ない。
ユノとジュンスの前に二人分の雑炊を置いて、なまえはと聞くとジュンスがジェジュンの部屋を顎で差した。
「ゲーム止められるとこじゃなかったから」
ユノが振り返ってごめんごめんと笑う。
あー…部屋片付けとけばよかった…。
俺はまた意気消沈。
とりあえず、雑炊をもう二皿持ってリビングに来た。
なまえと食事しながら、部屋が散らかってる言い訳をすればいい。
言い訳を考えながら待つことにした。