その男、煉獄杏寿郎【上】
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いつの間にか楓は、縁側に座らされていた。先程まで抱えていてくれた、煉獄杏寿郎と名乗った男が座らせてくれたのだろう。
背中に隠と書かれている黒子装束を纏った数名がいつの間にか敷地内に、家の中にもいる様子だった。この人達が、煉獄の言っていた仲間なのだろう。
楓「そうだ……。みんなは……?」
ふと呟くと、傍にいてくれた隠の方が全て説明してくれた。鬼に襲われ、家族は楓以外みな、殺されていた。
鬼の存在、鬼狩りの鬼殺隊の存在。
どれもこれも信じられない話だった。
ただ…その身体には、まだ煉獄の熱く優しい温もりが確かに残っていた。
楓は煉獄の温もりを確認する様に自分の身体を抱きしめた。
楓(あぁ…。これは現実なんだ…。)
身体から感じる煉獄の温もりに、
今しがた目の前で起こった事が、今起こっている事が、何もかもが全て現実だと再確認させられた。
溢れる涙が止まらない。嗚咽混じりに泣き叫ぶ。
眠りにつくまでは、いつもの日々と何も変わらない家族団欒がそこにあった。これからも続くと思っていた。
楓だけが生きている孤独感。家族を失った喪失感。それに押し潰されない為に、抵抗するかの様に泣き続けた。
ふと気がつくと目の前が薄暗くなったのを感じた。
視線を上げるとそこには、先程助けてくれた煉獄杏寿郎が立っていた。泣いていたからいつからそこに居たのかわからない。
「泣いていても始まらない!時は寄り添い泣いてはくれない!前を向け!少年!」
楓は驚き、ポカンと口を開けてしまった。
楓(……励まして……くれてるんだよね……?)
(少年……?)
(私だけ生き延びたのに……?)
楓の思考はぐるぐると考えてはいるが纏まらない。
助け舟を出してくれたのは隠の方だった。申し訳無さそうに、消え入りそうな声で言う。
「あの…煉獄様……。こちらの方は女性です…。」
その男、煉獄杏寿郎は目を見開き、最初に聞いた夜に似つかわしくない声量で笑い、言った。
「よもやよもや!女性を少年と間違えてしまうとは失礼した!穴があったら入りたい!」
楓はその痛快な笑い声、ハッキリとした謝罪に思わず頬が緩んでしまった。
その時、煉獄にお礼を言っていない事に気付いた。
楓「煉獄様。命を助けて頂きありがとうございます。」
まだ涙声でちゃんと聞き取って貰えたかわからない。
下げた頭をそろりとあげると、煉獄はまた目を見開き楓の顔を凝視している。驚いているようにもみえる。
そっと楓の頬に触れる。触れながら煉獄は
「失礼をした。」
ただそれだけ、それだけをいい終えるとそっと触れている手を離した。
続けて
「まだ任務が残ってる故、あとは仲間の指示に従ってくれ!」
そう言い終わると、まるで目の前で姿が消えたように土埃だけが舞っていた。
