その男、煉獄杏寿郎【上】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
この世には「鬼」という恐ろしい存在がいる。
人の血肉を喰らい、闇夜に紛れて襲いに来る。
私、楓は信じていなかった。そう…あの日までは……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あの日は突然やってきた。
三日月夜。三日月がとても綺麗に輝いているが満月の様な安心が出来る月明かりはない。ただ風も穏やかで時折雲間に見え隠れする三日月が綺麗な夜。…そんな静かで暗く綺麗な夜。
家族はみなそれぞれ、自室で床についている。楓は一人何となく眠りにつくことが出来ずにいた。
布団の中で横になり、どれ位時間が経ったのだろうか。やっと眠りに落ちる…そう感じたと同時に、悲鳴とも雄叫びともわからない大きな「音」がした。
楓は瞬時に跳ね起きた。跳ね起きたが金縛りにあった様に身体が硬直し混乱している。
楓 (…な、何の音…?え…?)
バタバタと足音と共に「逃げろ!楓!」と父の大きな声がする。
楓 「お、お父さん…?」
楓 (うわずって声が上手く出せない…。 逃げろって言ったの?何から…?)
勢いよく開けた襖から父が雪崩込み、楓に
手を伸ばした。父は楓に覆い被さろうとしていたのだろうか。その父の背後には影の様な「なにか」がいる。
その「なにか」は、あと一歩の所で、手を伸ばし助けようとした楓の目の前で…娘の父親を力任せに壁に叩きつけた。
楓「お父さ……!」
「なんだァ。若いオンナいんじゃねぇかァ。男は臭くて喰えたもんじゃねェ。」
父を壁に叩きつけた「なにか」が喋っているのだと理解出来るまでそう時間はかからなかった。
雲間からの月明かりで、影の様な「なにか」は猫の様な瞳孔の赤い眼をした人型の存在だった。それは喋り、そこに立っている。
楓 (こ…れは…な、、に、、?)
楓は動く事も瞬きする事も声を出すことも、息をする事も忘れていたかもしれない。動く事を忘れた身体では何も出来ず、呆然と赤い眼をした人型の「なにか」を眺めていた。
投げられた父の存在も忘れた様にただただ呆然と…。
「若いオンナは美味いからなァ。
そこのオンナァ。今喰っ!!!!」
今、喋り、近づいてくる人型の存在と、楓の間に白い布がふわりとなびいた。
次の時には人型の存在は……首をゴトリと落とし、身体は膝から崩れ落ち床に倒れてた。
「もう大丈夫だ!」
布だと思ったものは、夜には似つかわしくない声を出し楓の方へと振り返った。
ぎらりと赤く光る刀を一振し、ゆっくりと鞘へと収める。
白い布は羽織だった。白く絹が輝く様な綺麗な羽織。
三日月の月明かりが照らす。
そこに居たのは、闇夜を明るく照らす、炎と同じ色をした頭髪に、瞳を持つ男。
見つめられたら動けなくなりそうな力強い眼差し。
ひと目みたら忘れられない強い印象をもつ男の姿だった。
その男は楓の前で片膝をつき、
「俺は鬼殺隊、煉獄杏寿郎だ!」
「今に仲間が来る!それまではここに俺が居よう!」
その男は、煉獄杏寿郎と名乗った。それ以外の言葉は楓では理解出来なかった。ただ名とここに居るという事だけは理解出来た。
楓は大きく咳込んだ。息をするのを忘れていた。
咳き込み、むせ返る。
煉獄「大丈夫か!…ゆっくり呼吸を整えるんだ。そうだ。大丈夫だ。もう安心するがいい!」
楓「ゴホッゲホッ!」
むせ返り、倒れ込む楓の身体を抱えるように、その男は身体を滑りこませていた。
その手は、腕は、身体は、とても力強く、大きくて熱い。
むせ返る
1/10ページ
