緩リクエスト募集
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例えばイスカンダルの宝具「王の軍勢」やリチャードI世の宝具「円き十字に獅子を奏でよ」、武則天が日々使役している「酷吏」達。
サーヴァントの中にはかつての仲間や部下達を自身の力の一部として呼び出すことが出来るの英雄もいるのだが、はて、彼もそうだったかとカルデアのマスターたる藤丸立香が視界の端に写った見知った海賊と、その彼の隣に立つ見知らぬ男性の姿に首を傾げたのがつい数時間前の話。
「まぁ、バーソロミューなら大海賊の船長だし自分の船員呼び出せもするんだろうけど、ここで呼び出してるのも、あんなにハッキリ隣に並んでるのも初めて見たなって」
そう世間話のついで、と投げかけた僅かな疑問に対して黒髭は本当に心底嫌そうな顔を浮かべたのに、藤丸はきょとりと目を丸めた。
「……あれですな、拙者から言えるのはあれはクソデカ厄ネタなんで基本無視するのが吉といいますか」
「え゛!?そんな駄目な話だったのこれ!?」
メカクレへの異常な愛というか執着を無視すれば海賊の中ではまだ紳士的な部類であるバーソロミューの、黒髭も顔を歪めるほどの意外な展開に藤丸は眉を寄せる。
パッと見ではあったがバーソロミューの隣にいたあの人物は少し線が細い位の、言ってしまえば一般的な船員にしか見えなかった。
「拙者ヤンデレも勿論嗜みますが、男の、それも見知った同業のそれには思わず顔を覆いたくもなるというか、流石にキツイと言わざるをおえず……」
サバフェス経験者であり、このカルデアで色々な関係性というものを目にしてきた藤丸は黒髭のその言葉に嫌でも察してしまった。
「なんか意外かも。バーソロミューが誰かに執着してるのって……いや、メカクレに執着してる時点で意外じゃないのかな……」
「紳士だなんだ言われようが奴も海賊ですぞ?少女漫画みたいなお綺麗な恋愛してるわけないでござる」
顔は少女漫画な癖に、なんて自分で言っておいてケッと顎を突き出した黒髭に苦笑を浮かべて、バーソロミューの恋人なのか、それとも船長に捕らわれて船を下りれなくなった哀れな船員なのか分からない彼に向かって、まぁ、黒髭の話しぶりからして後者の方が高そうだが、一先ず心の内でそっとエールを送ったのだった。
ベッドの上、重なった影。
吐息混じりに漏れ出る僅かな声とシーツの擦れる音だけか部屋に響いている。
そうして暫くした後に、銀色の糸を引きながらバーソロミューの唇が赤い舌と一緒にナマエの唇から離れていった。
「……そういえば、マスターに見られてしまったかな」
部屋に入る前についナマエの姿を表に出してしまったのだが、そこをたまたまであろう通りがかったマスターに見られてしまったのがつい先程の出来事。
まぁ、こと対人関係においてはマスターは察しの良い方ではあるし、もしもの時は気に食わなくはあるが黒髭辺りが何か言うだろうと考えながら、バーソロミューは自身の下で荒い息を必死で整えているナマエに視線を移した。
彼の潰れた右目を親指でそっと撫ぜてやれば、ビクリと肩が跳ねた。
「……バー、ソロミュー」
どこか怖々とした様子で己の名前を呼ぶナマエに、バーソロミューはにっこりと笑みを浮かべる。
だというのにナマエはその笑みに対して更に顔を青くさせてしまったのだから不思議な話だ。
「ははっ、そんなに怯えなくてもいいじゃないか。お前が撃たれた時と、その後の私の気持ちに比べたらなんてことはないだろう?」
象った笑みとは反対に吐き出された言葉はあまりにも冷たい。
「あ、」だとか「その説は……」だとかまとまりのない言葉を引き攣った喉から絞り出せば強引に顎を掴まれた。
「言い訳は結構。これから償ってくれればそれで良いとも」
そうして再び唇が触れ合って、熱い舌に口内を蹂躙されていく。
バーソロミューの事は好きだ。
生前も、今も、その気持ち自体に変わりはない。変わりはないけれど。
片目を無くしてからのバーソロミューの私室にほとんど軟禁状態と、まさか死後までサーヴァントとなった彼の座に持ち込まれてこうして無理矢理呼び出さられてる現状は、このまま受け入れていてもいいものなのかと思わないでないのだが。
「こら」
「ふ、ぁっ」
飛んでいた思考を叱るように舌を噛まれて、強制的にバーソロミューの方へ引き戻される。
そうやっていつだってどうしたらいいのかの答えが出せないまま、きっとこの先もずっとナマエはバーソロミューの船から下船出来ないのだろう。