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ぐわっと大きく開いた口でまん丸ふかふかのパンにかぶりつく姿を、立香はほんの少し緊張した面持ちで見つめていた。
ほんの少しの咀嚼の間を置いて 、ナマエが顔を上げる。
「立香くん」
「はい!」
ナマエの目が真っ直ぐに立香に向けられた。
ゴキュリ、と自分の喉が鳴る音が酷く大きく聞こえる。
「このパン」
「はい!」
「すっごく美味しい!!」
「良かった〜!」
そう言ってナマエが満面の笑みで親指を立てたのを見て、立香はホッと胸を撫で下ろした。
カゴの中に盛られた丸パンは、立香がエミヤやブーティカ達に教わりながら作ったパンだ。
初心者でも作りやすいと言われたそれは、カルデアキッチン組のサポートのおかげも勿論あるが、我ながら上手くできたと思っている。
まぁ、それでも他人に食べてもらうのは緊張したが。
2つ目のパンにご機嫌な様子で手を伸ばしている目の前のナマエの笑顔に、笑みが浮かぶ。
オーブンから取り出した時、ふわりと鼻腔をくすぐる焼けた小麦の甘い匂いと綺麗に焼けたきつね色。
出来上がったそのパンを見て、立香の頭に一番に浮かんだのはナマエの顔だった。
自身が作ったパンを口にしたナマエは、どんな表情を浮かべるだろうか。
そうやって頭の中で想像したどんな表情より、実際に目の前で頬を膨らませながら笑うナマエの笑顔は立香の胸も焼きたてのパンみたいにふわふわ温かくさせていく。
「立香くんも一緒に食べよ〜って、立香くんが作ったパンだけど」
ふへへ、と笑うナマエにつられて、立香の口角も緩りと上がる。
「うん、いただきます!」
口にしたパンが何より甘くて美味しく感じられたのはきっと、手作りが上手くできたからだけじゃなくて目の前の笑顔のおかげなんだろうな、なんて。
いつか
いつか全部終わって、この南極の地を離れたその先の日常で、小さなパン屋さんを開いた自分の隣にナマエが居てくれたら、それはどんなに幸せなことだろう。
そうぼんやり考えながら、立香は目の前の笑みに目を細めた。