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ナマエは今話題のブルーロックで働く、従業員という名の何でも雑用係である。
ブルーロック内設備の殆どが機械やAIといったものの類で構成されている。それでも補いきれない部分をサポートするのがナマエの仕事だった。
「あ、ナマエさん!」
今日も今日とて選手の居なくなった夜分のトレーニングルームで備品点検をしていたナマエは、かけられた声に顔を上げた。
「あぁ、潔くん、こんばんは」
こんばんは、とどこかはにかみながら傍に寄ってきたのは潔世一。
現在、バスタード・ミュンヘンで指導者ノエル・ノアの元で最終選考を過ごしている選手の1人だ。
「すいません、作業中でした?」
「いや、もうほとんど終わってるから大丈夫だよ」
いつの間にか隣に来ていた潔がそう言って手元を見ているのを横目にそう返す。
肩が触れる程の距離の近さに随分と懐かれたなぁ、とぼんやりと思う。
ナマエが初めて潔と出会ったのも、今と同じように夜分に設備点検をしていた時だった。
「サッカーのことはよく分からないけど、他人に話してみたら思考の整理にもなるんじゃない?」
まだブルーロックが始まってすぐの頃。
どうやったら勝てるのか、自分の強みは何か、悩んでいた潔にそう言ったのがきっかけだった気がする。
ナマエはサッカーに関しては学生の頃に体育でやっていたくらいで見る専門だ。
けれどまぁ、悩める少年の話くらいは聞けるだろ、と軽い気持ちで相談に乗り始めてからその後も何度かの遭遇を繰り返し、気が付いたら顔を合わせれば笑顔で隣に駆け寄ってくれるまでには懐かれていた。
「随分熱心にやってるね、ちゃんと寝てる?」
「え、あぁ……と……なんか、寝れなくっ、て?」
自分のことだというのに妙にはっきりしない言い方と、どこかそわそわとした落ち着きのない潔の態度にナマエは首を傾げた。
「……ナマエさんは、さ」
潔の手がナマエの服の裾を遠慮がちに掴む。
一見あざとく感じるその動きにけれど、何故だか妙な圧の様なものを一瞬感じて背中に冷や汗が流れた。
「……本当は、この時間に起きてたらナマエさんに会えるかもしれないと思って来たって、って言ったら……?」
「え゛」
どうする、と続いた頬が薄らと赤らんでいた。
その意味が分からないほどナマエは鈍感では無い。
高校生、それも職場で預かっている立場の子供から向けられた好意にどうそれを躱すか瞬時に思考を巡らせる。
けれど目が、潔から向けられた目が逃がさないと、エゴイストらしく強い意志を孕みながら真っ直ぐにナマエを射抜いていて、監視カメラの向こうで見ているであろう絵心に助けを求めたのだった。