緩リクエスト募集
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ずくりと疼く下腹部の熱から耐えるように、ナマエは小さく息を吐いた。
熱の正体は分かりきっていた。
定期的に訪れるそれ。つまりはヒート、発情期である。
抑制剤の存在が頭をよぎるが、直ぐに頭を振って消してしまう。
Ωの発情を抑えるその薬を手に入れたのは3ヶ月ほど前。けれど抑制剤を買ったことはその日のうちに番である土方にバレ、抑制剤なんぞに頼る必要等ないと徹底的に教え込まされたのだ。
そんな事件があったうえで今回のヒートで抑制剤など黙って使おうものならば、“鬼の副長”などと呼ばれる自身の番からどのような目にあわされるかなど分かりきっている。
忙しい彼に迷惑をかけるような真似をしたくはない。
けれど、その土方自身がこの熱を迷惑などではないと、むしろ愛しいものだと笑ってしまうから。
土方が愛用している寝間着を抱えて布団に横たわる。鼻孔に伝わる番の匂い。
それらに埋もれながら、ナマエはそっと熱に耐えるように目を閉じた。
いつまでそうしていたのか。頬に触れる手の感触に薄らと目を開く。
「今回はちゃんと“待て”が出来たみてぇだな」
寝間着よりずっと強い番の匂いと熱に、無意識のうち求めるように触れる手に擦り寄っていた。
「としぞう、さん」
熱に浮かされた舌っ足らずな声でそう呼べば、土方は応えるようにナマエへ覆い被さると汗の滲む首筋へ舌を這わせキツく吸い付いた。
「は、ふぅ……っん」
紅色が着物では隠せない位置にまでついていて、けれどそれに怒るほどの思考も出来ずにただナマエは、はふはふとされるがままに乱れた息を吐いていた。
「はっ、随分いい眺めだな」
「……意地悪」
上気した頬と潤んだ瞳で睨まれても、土方にとってはただ可愛らしいだけでしかない。
「俺が居るのに、黙ってくだらねぇ薬なんぞに手ぇ出そうとした番様に言われたかねぇな」
そう言い返してやれば途端に居心地悪そうに視線を逸らされる。
けれど逸らした視線は無理矢理頬を掴まれて戻されると、喰らいつくように口付けられて仕置きだと言わんばかりに土方の舌に口内を荒らされた。
奥歯をなぞり、舌を絡め取られ、銀糸を作って互いの唇が離れる頃には最早理性はぐずぐずに蕩けていた。
いつもより熱い土方の掌が、ナマエの下腹を緩く押す。
たったそれだけの事で、きゅう、と奥が疼く。
抑制剤の存在は、最早頭の片隅にすら残されてはいなかった。