3万hit記念リクエスト
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ウェイバーにはナマエという友人がいる。
少々難のある性格をしているウェイバーにも臆せず話しかけ、へらへら笑って俺らズッ友だよな!と言ってのけるような、そんな奴だ。
苦手なケイネスの従兄弟だと知った時は距離を置こうとしたが、しょんぼりとした顔でこちらを伺ってきたので直ぐに絆された。
まぁ、何が言いたいかといえば、ウェイバーにとってナマエはそれなりに大切な友人なのだ。
ここで少し話は変わるが、ウェイバーは今現在、ケイネスの用意した触媒を盗んで第四次聖杯戦争に参加している。
そのケイネスも、新たな触媒を用意し、聖杯戦争に参加していた。そして何故だかケイネスに引っ付いてナマエもここ冬木に来ていた。
ここまではいい。何故ナマエまで冬木に来たのか少し疑問ではあるが、まぁまぁ理解できる範囲である。
しかし問題はその後なのだ。
「ナマエ、ナマエ……今度こそ、君も、世界も、僕が救ってみせるよ」
「こうして再び逢えたことを、運命と呼ぶのだろうな……私の義弟、お前だけが私の歪みを理解してくれるのだろう?」
「あぁ……あぁ……ナマエ、ごめんな……兄である俺が、お前を守ってやらなきゃいけなかったのに……大丈夫、次は兄ちゃんが守ってやるからな」
「ナマエ、やはり君なんだね?……君ともう一度会えるとは思ってもみなかったな……今度はあらゆる危機から君を守ると誓おう。だから、安心してこちらに来なさい」
ちなみに上から死んだ目でナマエ一点を見つめる魔術師殺しのスナイパー。歓喜と恍惚の笑みを浮かべる神父。新しい決意に燃える白髪の冬木御三家。慈愛の裏に薄らやばさを感じる赤いスーツの冬木御三家である。
何故ウェイバーの友人であるナマエは、聖杯戦争参加者のマスター達からやべぇ表情でやべぇ言葉を向けられ、詰め寄られ、狙われているのか。
ウェイバーには全くもって理解できなかった。
ただこの状況で唯一理解できるのは、ナマエがこいつらの誰かに連れていかれたが最後、二度と会えずにBADENDルートに突入するであろう事だけである。友人のそんな悲惨な結末は全力で避けたかった。
「ウェイバー・ベルベット!私とランサーでこいつらを引き止める、その間にライダーにナマエを乗せて離脱しろ!!」
「は、はいっ!」
この中で唯一まともなナマエの保護者ケイネスの言葉にウェイバーはナマエの手を引いて、全速でライダーの戦車に飛び乗った。
しっかり捕まっていろよ!というと、ライダーの戦車は瞬く間に空を駆けた。後方からは銃声やら斬撃音やらが鳴り響いている。
「おっ前!彼奴らとどういう関係なんだよっ!」
離脱しながらもっともな問いを投げるウェイバーに、ナマエは涙すら浮かべながら知らないよっ!と返した。確かにナマエと数年間友人をやっているが、あんなやばい交友関係があるようには感じられなかった。
「お、俺、本当にあの人達のこと、知らないはずなのに……でもあの人達本気だった……俺、前に、あの人達と、会ったこと、あって……?」
怯えと、混乱。
まずい、とウェイバーはナマエの頬を両手で包むと、無理矢理自分と目を合わさせた。
「しっかりしろ!前に会ったことがあっても、無くても、今のお前が彼奴らの事を知らない、怖いって認識してるなら、僕がお前を守ってやる!それに、僕だけじゃ頼りないって言うなら、ケイネス先生も、その、居るし……」
次第にごにょごにょと顔が赤くなっていくなっていくウェイバーを、ポカンとした顔でナマエは見つめた。
「青いのぉ、坊主」
揶揄うライダーに煩いっ!と怒鳴りつける。
何故ナマエが狙われているのか分からないが、ここはケイネスに一時休戦を申し出て、彼奴らからナマエを守らなければ。
そうこれからの事を考えると、頭が痛かった。
「ありがとう、ウェイバー」
ふにゃりとナマエが笑う。
そうだ、ナマエはそうやってあほ面浮かべて笑っている方がいい。
絶対にあんな奴らにナマエを渡してなんてやるもんか。
だって今のナマエは、ウェイバーの大切な友人なのだから。