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チリがアオキにそれを聞いたのは、ほんのたわいも無い世間話の延長とほんの少しの好奇心からだった。
「アオキさんって、お相手のどういう所が好きなん?」
PC画面からアオキの左手薬指へと目を移す。
そこにはめられているのは実に彼らしい
、シンプルなデザインのシルバーの結婚指輪。
チャンピオンリーグの四天王とチャンプルジムのジムリーダーを兼任しているアオキは、ポケモンボールを扱うその仕事柄、指輪を外していることが多い。
特にチリ達と会う時は大概リーグ戦の時が大半なので、尚更にチリがアオキの結婚指輪を見る機会は少ないのだ。
だからこそ、こうして事務処理の合間の世間話としてふったのだが。
まぁついでに、このアオキという変にマイペースというか、図太いというか、とにかく癖の強い一面を持つ男が結婚するに至った相手どんな人物なのか、ちょっとした好奇心。
「そう、ですね......」
意外にも素直に答える気があるのか、相変わらずの仏頂面がほんの少し考えるような素振りを見せて口を開いた。
「魚を、綺麗に食べるところ」
それは食べることが好きな、というか食にしか関心を持っていないのではないか、というアオキらしい回答だった。
チリがそれに「アオキさんらしい視点ですね」なんて返そうとした時だった。
「私の健康に気を使って、食事を考えてくれるところ」
チリが言葉を発する前に、アオキは更に続けていく。
普段の消極的でまともに喋らないアオキからは信じされない言葉数の多さにチリは目を見開いた。
「普段は落ち着いて食事をしているのに、プライベートな空間だと油断して、ヨクバリスの様に頬を膨らませているところ」
「ポケモンを撫でる手つきが優しいところ、小さい身体で家の中を動き回っているところ」
「ちょ、一旦ストップ、ストーップ!」
それから、となおも続きそうなアオキにチリは慌てて待ったをかけた。
最初に聞き始めたのはチリの方だが、あのアオキからこうも惚気が飛び出してくるとは思っていなかったのだ。なんなら「人に言うことでもないので」なんて適当に躱されるとさえ思っていたのだ。
「アオキさん、ホンマに好きなんやな 」
普段の業務態度からは考えられないほどスルスルと開く口に、常からこれならば営業成績ももっと上がっただろうにとは思わずにはいられなかった。
上司であるオモダカの苦労が偲ばれる。
「ええ、好きですよ。だから結婚しました」
照れるでもなくそうするりと言ってしまえるアオキに、チリははぁー、と天を仰いだ。
アオキさん、そんな事言うタイプじゃないやんか、なんて。
「なんやもう、お腹いっぱいやわ」
苦い顔をしたチリに当の本人であるアオキは覇気もなくただ「はぁ」とだけ返すとチラリと自身の指輪へと視線を落とした。
早く帰って、ナマエさんと夕飯が食べたい。
「今日の夜は肉じゃがにするね」なんて笑って自身を見送った愛する人の笑顔を脳裏に浮かべながら、アオキはほんの少しだけキーボードを叩く指を速めたのだった。