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見るからに柔らかそうなフワフワのパンケーキにたっぷりと乗せられた生クリームの白の上で、苺の赤やブルーベリーの青が彩り鮮やかに輝いていた。
うきうきと銀のナイフとフォークで切ったそれを口に入れようとした瞬間、ぼふんという音一緒にパンケーキも何も一瞬で目の前から消え去ってしまう。
「.......んえ?」
「悪ぃ、起こしたか」
ふわりと目を覚ます。
パンケーキの変わりに生クリームみたいな真っ白な髪の恋人の姿。夜中にようやく帰ってきたらしい、ベッドに乗り上げた音でナマエは目を覚ましたらしかった。
「ん〜、おかえり左馬刻」
「ただいま」
両手を伸ばしてお疲れ気味の恋人、碧棺左馬刻の頭をわしゃわしゃと乱雑に撫でれば、ふっと柔らかな笑みを浮かべる。誰もが恐れるハマのヤクザ、MTCのリーダーである彼も恋人の戯れには寛容的な1人の男なのだ。
「満足したか」
動きが緩くなったナマエの手を取って、抱きしめながらベッドに入り込む。
まだ半分夢の中、寝惚けた顔が左馬刻の腕の中でくふくふと笑っていた。
「何笑ってんだ?」
つられるように柔らかな笑みを浮かべて聞く左馬刻に、ん〜?と胸に擦り寄る。
「さっきねぇ、パンケーキ、左馬刻のせいで食べ損ねちゃったんだよ」
パンケーキの単語にあ?と頭を回す。
ナマエから今日出かけるという話は特に聞いていなかったし、自分のせいで食べ損ねたとは一体なんの事だと考えたが、すぐにあぁ、夢の中の話か。と気付いてハッと笑いが零れた。
「左馬刻の、髪みたいに真っ白のクリームとね、左馬刻の目みたいな真っ赤な苺が乗ってたんだよ」
「そりゃ悪いことしちまったな。明日、食いに行くか?」
ふにゃふにゃとした寝ぼけ眼が左馬刻に向けられる。
「パンケーキもいいけど、おれ、左馬刻のコーヒーのが、飲みたいなぁ。パンケーキと、左馬刻のコーヒー」
とろりと蕩けた笑みと可愛らしいおねだりに、左馬刻は目を細めた。
「俺様に対して随分わがままだなァ、ナマエちゃん?」
「んふふ、左馬刻様は恋人のわがまま、叶えてくれる?」
ナマエの髪にキスを落とす。
クスクスと密やかな笑い声が2人分、ベッドルームに静かに響いた。
「可愛い恋人のわがままなら、特別に叶えてやるしかねぇなァ」
ちゅっ、と触れるだけのキスが今度は唇に落とされる。
誰にも邪魔されずにゆっくり眠って、少し遅くにコーヒーとパンケーキの香りで目を覚まそう。
そんなほんの少しだけ特別な明日を夢みながら、恋人達は夜を過ごすのだ。