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岸辺露伴はまだ10代の、所謂華の高校生時代に運命の出会いをした。
それはふと、なんとはなしに立ち寄ったとあるコンクールの作品展だった。中学生から高校生までの受賞作品を眺めながら、露伴は受賞作品とは言ってもこのレベルか……と内心溜息を吐いた。確かに賞を得ているだけはあってどれも上手いとは思うが、ただそれだけだ。さっさと回ってしまうかと考えた時だった。露伴の足がピタリと、一枚の絵の前で止まった。油絵の朝焼けの海、鮮やかな海の青と海面を撫でる柔く鋭い陽の光。残された筆跡の一つ一つから感じる命の煌めきが、今まで見てきたどの絵とも違う。それは確かに露伴の心を震わせる作品だったのだ。
「ナマエ」
露伴はその作者の名を忘れぬよう、静かに口にした。
時は経ち、1度は杜王町をでた露伴が再びこの杜王町に戻り、東方仗助 広瀬康一 虹村億泰達と鮮烈な出会いをはたし、暫くたった日のことだ。
とある平日の昼下がり、露伴は漫画のネタを探しに町を彷徨いていた。そんな時、ふと通りがかった公園に男はいた。
人のいない静かな公園のベンチに座り、一人熱心にスケッチブックに色鉛筆を走らせているその姿に、露伴は多大な興味と好奇心を抱いて彼に近寄った。絵に写った露伴の影に男は顔を上げる。
「あぁ、悪いね。一人熱心に絵を描いているものだから気になってしまって。みてもいいかい。」
男は、はぁと気の抜けた返事と共に露伴にスケッチブックを差し出した。その絵を受け取り見た露伴は、強い衝撃に晒された。この色使い、絵から感じるこの煌きを、露伴は確かに知っているのだ。
「……すまない、名前を聞いてもいいかな。」
微かに震える声で問う露伴に男は答える。
「ナマエですけど……」
露伴は勢いよく男、もといナマエの手を取って、満面の笑みで言い放つ。
「僕は君のファンなんだ!!!!」
平日の昼下がりの公園で、若い男が2人手を取り、一方は興奮を、一方は困惑をしている様は実に妙な光景で、幸いとすべきはここにこの2人以外に人がいない事であった。
この翌日から画家とぜひ仲良くなりたい漫画家と、画家に懐いている高校生の攻防戦が始まったりしたとか否か……