うつけ者のてふてふ
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帰蝶こと濃姫は目の前の現状に大変混乱していた。
それはもう帰蝶の記憶の中でダントツ1位の混乱の仕様だった。
だってこんなこと予想できようがないだろう。
「ええい!帰蝶と過ごした歴が長いのはこの儂じゃぞ!」
「過ごした時間の多さなんて今更ナンセンスじゃろ!やはり時代はロック。帰蝶と儂はナンバーワンロックンロール夫婦としてアリーナを目指すんじゃ」
「儂、マントとか宝具とか色々豪華にリニューアルしたんじゃが!帰蝶も再臨できて星五な儂の方がいいよな!」
「へぇ、これが未来の俺の正室か。なかなかの美人じゃねぇか!いいぜ、気に入った」
「何じゃ帰蝶。そのような場所で縮こまって居らんで、早うちこう寄れ。存分に愛でてやろう」
「の、信長様が……ふ、ふふ、増えて……」
「ノッブ達ストップ、ストーープッ!帰蝶さんパニックだからーー!!目がぐるぐるしちゃってるからーー!!」
誰が予想できようか。まさか夫が5人に増えているなどと
……
「大変ご迷惑をおかけしました。マスター様が間に入ってくださっていなければ、私はあのまま倒れてしまっていたかもしれません……」
小さく頭を下げる濃姫に、立香はこれは仕方ないよと苦笑した。
誰だって急に夫が増えたら混乱する。
そんな自分のマスターと妻のやりとりをよそに、当の本人達はやれ今日は誰が帰蝶の隣でご飯を食べるかとか、お前は朝餉一緒に食べたんだから控えろとか、いや帰蝶は今日は我とデートの予定じゃからとか、そんなの儂聞いとらんぞ!とか
「ちょっとノッブ達ぐだぐだしないで」
「……かくなる上は私も増えるしかないのでしょうか」
「やっぱり帰蝶さんまだ混乱してるね?」
ちなみに次増えるとしたら水着濃姫さん?それは見た目と性別的にどうなるんだと、立香までぐだぐだとした思考に陥り始めた瞬間、スパーンッという小気味のいい音と勢いよく開かれた襖、最近星五信長と共に仲間になった鬼武蔵こと森長可が立っていた。
「お!殿様こんなとこに居たのかよ……って、濃姫様じゃねぇか!濃姫様も呼ばれてたのかよ、久しぶりだなぁ!!」
「長可様も呼ばれたのですね、それは何とも心強いと申しますか……色々と心配、と申しますか……」
立香を探していたらしい長可は、濃姫を見つけるとギザギザとした歯を覗かせながら豪快に笑う。
濃姫の方も多少不安気な気配を見せつつも、再び旧知の仲に会えたのは嬉しいようで、ふわりとした笑みを浮かべると、その赤髪を緩やかに撫でる。
そんな祖母?祖父?と孫、ないし飼い主と大型犬のような穏やかな雰囲気を見せる2人。
ふと、長可の頭を撫でている濃姫の服の裾を、星4弓兵信長が軽く引っ張る。
「帰蝶」
「……信長様?」
振り返った濃姫の頭に、ぽふりと信長の手が置かれ、ゆるゆると撫でる。
「うむ、これはなかなか良いな!」
「は、」
濃姫の艶やなな黒髪を信長の手がゆるりと動いては、時折戯れのように頬へ移動して撫でていく。
「あ、狡いぞ弓兵の俺!」
「次は儂が撫でてやろうな、帰蝶」
「いやいや次は儂じゃろ!」
そんなこんなでまたぐだぐだと騒ぎ始めた信長達、そしてそんな信長に頭を撫でられ続けている濃姫はというと。
「濃姫様、何か湯気でてねぇか?」
「そうだね、あれ完全にフリーズしちゃってるね……」
立香は濃姫さんに帝都のカイザー信長とちびノブ軍団のことは黙っていようと、信長達に囲まれて真っ赤になった濃姫に、改めてそう心に決めた。