運命
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ん?やぁ、マスター
あぁ、彼とのことかい?大丈夫さ、今日は1回しか狙われてないし、いつも通りサリエリが止めてくれてたよ。
いや、別に彼のことは嫌ってなんかいないよ。ただ少し面倒だなとは思うけどね。
後は……そうだな。
サリエリと彼、早く付き合えばいいと思うよ。
傍から見たら両想いだって丸わかりなのにさ、全っ然進展ないし、キスの一つでもすれば変わると思うんだよね。
ハハッ!そんな微妙な顔しないでくれよ、マスター
僕を殺そうと狙う彼を止めるために、サリエリが彼を抱きしめたり、暴走するのを防ぐためっていう名目で2人が手を繋いで歩いてるの、マスターだって知ってるだろ?
それを、毎度間近で見せつけられる僕の身にもなってくれよ。
いい歳した大人が、10代みたいな甘酸っぱい恋してるんだからさ。
これで2人とも、お互い片想いだって思ってるんだから驚きだよ。
そもそも、有りもしない罪を庇って告白してる時点で、気づけって話だけどね。
サリエリは妙な罪悪感みたいなの感じてるし、馬鹿二人っていうか。
僕だって、何も思うところがないわけじゃないんだ。
僕の死が、僕のあずかり知らぬところで勝手に盛り上がって、勝手に犯人を作り上げたんだから。多少なりともね、感じるものはあるんだよ。
だからまぁ、何が言いたいかって言うと、早く付き合ってしまえ!っていう話だよ。
そう音楽家は、心底呆れたように語った。
アマデウスと話をした帰り、ふとマスター藤丸立香の耳にピアノの音が聴こえた。
それはどこまでも優しいもので、気になって音のなる方へと向かえば、そこに居たのは件の2人だった。
空き部屋の中央に置かれたグランドピアノ。
その前に置かれた椅子にサリエリと男の2人で腰掛け、連弾をしていた。
僅かに触れ合う肩、交わる2人の音。
時折視線を合わせ、幸福を滲ませた笑顔を浮かべる。その頬は淡い朱色に染まっていて。
恋人同士の様な雰囲が満ちたその空間を、立香はそっと後にした。
アマデウスの言う通り、早く付き合ってしまえばいいのに!