サリエリの掌が、そっと瞳を覆った。
真っ暗な視界。
何も見えないなかで、唇に冷たい何かが触れて、すぐに離れていく。
それは灰色と化して尚、注がれる愛情


ばさりと音をたてて、顔のない王の影に隠される。
｢こんな事するの、アンタだけですからね。｣
小さなリップ音と、頬に一瞬触れるロビンフッドの唇。
耳を真っ赤に染め上げた、精一杯の親愛


槍兵のクーフーリンは、目の前を忙しなく動くその手を掴むと、無遠慮にその白く細い手首へ、噛み付くようにキスをした。
驚きと羞恥に染まる顔に、満足げに笑う。
｢あんまり放っておくなよ。｣
クランの猛犬、その紅眼に宿るは欲望


深夜、ジャック・ザ・リッパーはこっそり明かりの消えた部屋へと忍び込むと、目当ての人物がぐっすり眠っているのを確認して、そのベッドへ自分も潜り込んだ。
｢お母さん、大好きだよ。｣
その言葉と共に、薄い腹にキスをして目を閉じる。
今はこれで充分だと、母無き子の回帰


目の前で跪いたモードレッドは、恭しく手を取ると、その手の甲へキスを一つ落とした。
いつもの勝気な表情はなりを潜めた、真剣な顔。
叛逆の騎士は、敬愛を捧げる


ニトクリスはその美しい褐色の手で、傷だらけの手をとると、その指先へキスをした。
｢この手の傷は、あなたが必死に戦った証です。誇りなさい｣
美しき同盟者からの、称賛