Grand Order
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ガシャンと音を立て最後の粛清騎士が倒れたのを見届けると、立香はホッと息を着いた。
「2人ともお疲れ様!」
そう2人に声をかけ、駆け寄ろうとしたその時だった。
ズンッと部屋の空気が一気に重くなる。
『そう簡単に、逃がすと思うか』
どこからか声が響く。
リアムはマスターを背に庇い剣を持ち直すと、エミヤはカチャリと銃を構えた。
『リアム、リアム、我らが王よ。我らの操り人形よ。
お前が逃げれば、民を殺す、家族を殺す。それでもお前は逃げるというのか』
声と共に玉座の方へ仄暗い光が集まり、形を成していく。
巨大ゴースト
それは明確な敵意を持って、3人を睨みつけてた。
「あれは私のかつての敵でもあり、呪いでもあるのでしょう。
あれを倒さなければ、私は本当の意味で前へ進めない。
マスター、そしてエミヤ。どうか力を貸してください」
リアムの真剣な眼差しと声音に、立香は笑みを浮かべる。
「もちろん!あのゴーストを倒して、それで今度こそ3人で帰ろう!」
力強いマスターの言葉と、ただちらりと視線を投げかけるエミヤの無言の肯定。
生前、あれほど恐ろしいと感じていたモノを、今なら乗り越えていけると確信する。
ありがとうと小さく呟くと、リアムは一気に巨大ゴーストへ向かって駆け出し、その頭蓋目掛けて剣を振るわんと飛躍する。
『傀儡如きが生意気な!』
巨大ゴーストの手が、リアムを狙い振り上げられる。が、その手がリアムに届くことはなかった。
巨大ゴーストの頭蓋目掛けて飛躍したリアムは、その剣を頭蓋に攻撃するのではなく、自身の真横で振るうとその反動で巨大ゴーストの手を避けた。
「時のある間に薔薇を摘め」
リアムにばかり気を取られていた巨大ゴーストは、影から近づいて来ていたエミヤの存在に気がつくことが出来なかった。
常人では不可能な超連続が巨大ゴーストに確実にダメージを与える。
『小癪なっっ!!』
巨大ゴーストの手が、立香に延び振り下ろされる。
「させませんっ!」
ガンッという重たい音をたて、リアムは立香に届く前に、巨大ゴーストの手を剣で受け止めた。
そのまま押し潰さんと巨大ゴーストの手に力が入り、ミシミシと嫌な音が鳴る。
「リアム!!」
立香が名前を呼ぶと同時に、魔力が全身に満たされるのを感じた。マスターの魔力を回してくれたのだろう。
それに応えるように、巨大ゴーストの手を振り払う。
「私は私の大切なものを守る、その為に貴方達を倒します」
真っ直ぐ剣を構えると、それを静かに振り上げる。
「我が身は誰が為に剣を振るわんっっ!!」
ダンッと1歩踏み込みながら勢いよく振り下ろされた斬撃は、白金の光を纏いながら巨大ゴーストの身体を貫いた。
『ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"──────ッッ!!』
絶叫を上げながら、巨大ゴーストの身体は空へ消えていった。
「……あぁ、やっと私は過去と正しく向き合う事が出来そうです。
2人のおかげですね、ありがとう」
リアムの柔らかな笑みが2人を見つめる。
「どういたしまして」
「……迎えに来たついでだ」
扉に手をかける。
大切なものを守ろうとして多くを傷つけ、結局その大切なものすら守りきれなかった。
犯した罪は消えないけれど、だからこそその罪と向き合っていかなければならない。
今度こそ、守るために
開けた扉の先には、光が広がっていた。