Grand Order
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新たな顔見知り、それもカルデアで兄のような立ち位置であるリアムがいてくれた事に、立香は良かったと胸をなで下ろした。
「リアムも居るってことは、この夢はリアムの深層心理ってこと……?」
リアムは苦笑をひとつ浮かべると、すみませんと謝罪を口にする。
その様子からするに、どうやら正解らしい。
立香は気にしないで!よくある事だからとブンブンと手を振った。
無意識の中で起きてしまった出来事なのだから、事故のようなものだ。誰が悪いという訳でもないだろう。
「それより、早くここから出よう。そろそろ起きないと、マシュや皆が心配するだろうし」
「えぇ、今きた廊下を戻れば城外へ出れるでしょう」
これで一安心だと、立香はエミヤの方を見る。
けれど彼は動こうとしない。ただじっと、リアムを見つめている。
「……あんたも、一緒に帰るんだ」
当たり前だ、皆で帰らなければ意味が無い。
けれど、リアムはその場から動こうとしない。むしろ首を横に振り、拒絶の意をしめしている。
「駄目です、私は帰れません。ここに残ります。2人で帰還してください」
こちらの困惑など意に介さず、ただ微笑みを浮かべてそう返答する。
いつも通りの微笑みの筈なのに、感じる違和感の正体が分からない。
「なら、無理矢理にでも連れ帰るまでだ。
あんた1人でも、戦力が減るのは惜しいからね」
「リアム!一緒に帰ろう」
2人の呼び掛けにも、リアムは頷かない。
ただ困ったように笑みを浮かべて、そしてこちらに向けて、剣を抜いた。
それが合図かのように、どこからともなく現れた粛清騎士達が、取り囲むように2人に立ちはだかる。
「ごめんなさい。だけど私は、ここから出る訳にはいかないんです」
粛清騎士が一斉にこちらへ攻撃を仕掛けてこようとするのをサブマシンガンで牽制するが、その隙を縫うように接敵したリアムが繰り出す攻撃を、サブマシンガンの銃身でガードする。
けれどいくら一般のサブマシンガンと違い強化してあるといえど、サーヴァントの攻撃を防ぐには耐久力が足りない。バキンと嫌な音を立て破壊されるサブマシンガンを横目に、リアムの胴体を蹴り飛ばし何とか距離を置く。
サーヴァント1人相手にするのでも苦労するのに、こうも他の敵も多くては不利だ。
「マスター、まずは周りの敵から対処をしていく。いいね」
「了解!」
攻撃のため近づいてきた粛清騎士に立香がガンドを打ち込み動きを止め、その隙に素早くエミヤが仕留めていく。
リアムに対しては変わらずサブマシンガンで牽制しながら距離を置き、近づけばナイフで対応するが、どうにかまた距離を置くことを繰り返す。
その様子を見て、立香は気づいたことがある。
リアムから敵意や殺意といった、そういった類は感じられないのだ。
サブマシンガンによる牽制も、本来の彼ならもっと上手く対処し、早い段階で白兵戦に持ち込むだろう。
「リアム!どうして一緒に帰れないのか、せめて理由を教えて欲しい!」
立香はどうにか声を張り上げた。
粛清騎士に関しては戦闘は避けられなくとも、リアムとこのまま戦闘を続けるのは避けたかった。サーヴァント同士の戦闘ということもあるが、それよりも仲間同士で争いたくはなかった。
「……守らなければ、いけない。
私がここから逃げ出してしまえば、危険が及んでしまう。守れなくなってしまう」
リアムの目が、虚ろに揺れる。
記憶の混濁。今の彼は生前の記憶に引っ張られているのだろう。
「今あんたが守りたいものは、なんだ。
少なくとも僕には、ここに居ることで守れるものなんて、何一つないと思うがね」
粛清騎士に攻撃を入れながらも、エミヤが投げかけた言葉にリアムの目が確かにこちらを写した。その視線を逸らさずに、真っ直ぐに見つめ返す。
「今の私が、守りたいもの……」
1人の粛清騎士が、立香の背後に周り剣を振りかざす。けれどそれが立香に届くことなかった。
その剣が届くより先に、リアムの剣が粛清騎士を切り倒していた。
「そうでした。今の私が守りたいものは……貴方でした、マスター!」
リアムが浮かべているいつもの笑顔に、立香は良かった!と胸をなで下ろした。
「すみません、ご迷惑をおかけしました。一緒に帰りましょう。マスター、エミヤ」
「まったく。次はないように頼むよ」
リアムとエミヤ、2人の連携であっという間に粛清騎士が倒されていく様に、立香はおぉ!と感嘆を上げた。
カルデアでもよく一緒にいる2人は、戦闘においても抜群のコンビネーションを発揮している。
エミヤが隙を作り、リアムが白兵戦で攻撃する。
そうして瞬く間に、戦闘は終わりを告げた。