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バーサーカーが優位に進めていた戦いは、ランサーの乱入により流れを変えていた。
ランサーが長槍で隙を作り、そこへリアムが切り込む。2人の連携でバーサーカーが少しづつ後退していく様に、間桐雁夜は奥歯を噛んだ。
負けられない、こんなところで負けるわけにはいかない。
自分は勝たなければいけないのだ。だって自分は約束したのだから。
「バーサーカーッ!」
魔力を回さなくては、あのサーヴァント2騎には勝てない。間桐臓硯によって無理矢理開かされた魔術回路を限界まで動かす。
ありったけの魔力を、バーサーカーに与えるために。
「僕は、桜ちゃんにまた葵さんと凛ちゃんに会わせてあげると、約束したんだ!
遠坂時臣!彼奴が、桜ちゃんをあんな地獄へ追いやったんだ!!彼奴が……彼奴が居なくなれば!!」
叫ぶように発せられたその言葉に、ナマエの歪む。ただその瞳は真っ直ぐに、雁夜を見つめていた。
「……それは本当に、間桐桜を想っての行動ですか」
「……ッ!」
そうだ、そうに決まってる。全部桜ちゃんのためを想っての行動だ。
その筈なのに、その為にこうして戦っている筈なのに。
頭に思い浮かぶのは、自らを「お父さん」と呼び慕う2人の少女と、愛したあの人があの男ではなく、自分だけを見つめる姿。
あぁ、なんて幸福な世界か。
目の前に現れた琥珀色の瞳、バーサーカーとランサーの声、響く鈍い金属音。
「それは、貴方自身の願いでしょう」
どすりと腹にきた鈍い痛みに、息が漏れる。
バーサーカーに魔力を回す前に、間桐雁夜は意識を失った。