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「Arrrrrrrrrrrrrrrrrrrr―――!!!!!」
黒く変質した木を武器に突っ込んで来たバーサーカーのそれを無理矢理斬ると、そのままバーサーカーの腹に蹴りを叩き込み弾き飛ばす。
けれど弾き飛ばされたバーサーカーもそのまますぐに体制を立て直すと、手身近にあった木をボコりと無理矢理引き抜いた。
バーサーカーの手によって引き抜かれた木は、途端に禍々しい黒へ変質していく。
その様にリアムは思わず眉根を寄せた。
(倉庫街で見た時は武器を変化させていましたが、まさか木まで変えてしまうとは……変質性の宝具か……?)
バーサーカーが触れ変質したそれはもはや木とは言えないような強度を持ってリアムに向けられる。
真名も何も分からない中で、戦いながら相手の戦闘スタイルを見極め対処していかなければならない。
加えてバーサーカーが何を主武器として使用しているのかも分からない。
そして何よりも厄介な点がバーサーカーというクラスが持づ狂化゙という特性。
理性がない分攻撃的なそれは常人に比べ動きが読みづらい。
逆に動きが単略的になり攻撃が当てやすい場合もあるのだが、このバーサーカーは生前よほど武芸に富んだ武人だったのだろう、隙がほぼ見当たらない。
(せめて左手が使えればまだマシな戦いになったのでしょうけど)
倉庫街でのランサーとの戦闘により、手を負傷しているリアムは思うように剣を握り振るうことができない。
それがバーサーカーと戦う上でリアムを不利にさせていた。
自分のサーヴァントであるバーサーカーが有利に進めていく戦いに、雁夜は愉快げに口角を上げた。
元より己のバーサーカーが最強であると自負している雁夜は、この状況を当たり前だと思っているのだが。
「やれ、バーサーカー!そのままセイバーを…… グッ!……ゲホッゴホッ……ハッ、ハッ……カハッ!」
有利に戦っているバーサーカーに笑みを浮かべていた雁夜は、唐突に口を抑え激しく咳き込見始める。
白い髪に血色の悪い顔色は、どこからどう見ても正常な様子ではなく、何かが彼の体を蝕んでいることは最早明白だった。
「何故貴方はそこまでしてこの聖杯戦争に参加しているのです。貴方はあの少女の、桜の現状を知っているのですか」
「ゲホッ、カヒュッ、うるさい!お前に答えることなんて、何一つ無い!!バーサーカー!」
マスターである雁夜の声に呼応するかのように、バーサーカーがリアムに禍々しく黒い剣を振りかざす。
「ッ!!剣が主要武器ですか!」
激しい斬撃の嵐を受け流していく、しかし健の切れた手はその反動を抑えきれずに僅かに隙を産む。そしてそれを見逃すほど、バーサーカーは甘くはない。
「Arrrrrrrrrrrrrrrrrrrr―――!!!!」
当たれば重症は免れないその攻撃に、リアムは咄嗟に防御の姿勢をとる。
次の瞬間、二人の間に走る鋭い閃光。
強い衝撃と共にバーサーカーの体が横に飛んだ。
変わりに、リアムの前に立つ人影。
その手に握られたのは、短槍と長槍。
「セイバーの首級は我が槍の勲。
このディルムッドを差し置いて彼を討つことは、断じて許さん!」
「ランサー……!」
美しき槍使いの登場に、ざわりと空気の変わる音がした。