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セイバー陣営が拠点とするアインツベルンの城。整備の行き届いたそこはただの城ではない。
仮にも冬木御三家のうちの一角。ぐるりと周りを取り囲んだ森には魔術により様々な仕掛けが施され、生半可な人間では城までたどり着くことすら不可能に近い。
けれどそれは、一般的な人間に限っての話である。
ドォンッ
「きゃっ……な、何……!?」
「アイリスフィール、こちらへ」
アインツベルンの森に響く爆発音。
衝撃波でビリビリと古城の窓ガラスが震える。
切嗣は素早く半身を隠すと、銃のセイフティを外し索敵を開始する。そこへアイリスフィールとイリヤスフィールの避難を終えたリアムも剣を手に切嗣の側へ控えた。
「……敵はどうやら、件の間桐のマスターみたいだが?」
「申し訳ありません、私のせいでしょうね」
非難めいた視線をチラリとリアムに向ければ、すまなそうな苦笑と謝罪が帰ってくる。
「なら、分かってるね」
「はい、彼等を招く原因となった責任は必ずやとりましょう」
リアムは窓から身を乗り出すと、そのまま森へと落ちていく。
見送った切嗣は一つ息を吐くと、自身も銃を手に動き出した。
……
「Arrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrーー!!!」
意味をなさない叫びが森に響く。
素肌の一切を見せない黒い鎧、禍々しく光る赤。理性を感じさせないそれは、まさに狂戦士と言われるそれだった。
手に持つ武器は黒く変色した何か。振り回されるそれは地面を抉り木々をなぎ倒していく。
「全部、全部壊せバーサーカー……!」
バーサーカーの被害が届かないギリギリの場所。痛みによろめく体を支えながら、マスターである間桐雁夜は歪んだ笑みを浮かべる。
しかしその顔はすぐに怒りに変わった。
「これ以上の破壊行動はやめてもらいます」
「……来たか」
凛とした制止の声。
雁夜とバーサーカーの前に現れたのは、柔和な優男。しかしその身に纏うのは鎧、手に持つは鈍く光る剣。サーヴァント、セイバー。
今回雁夜の目的はこのサーヴァントだった。
「お前が何の目的で桜ちゃんに近づいたのか知らないが、ここで消えてもらう……ッ!」
「私も、貴方には聞きたいことがあるのですが、その前に」
勢いよく自らに向かって投げつけた黒い武器を真っ二つに叩き斬る。
「Arrrr……」
「バーサーカーを止めることが先ですね」
剣を構え直せば、ゆらりとバーサーカーも姿勢を低く構え、一瞬の静寂。
ダンッと互いに勢いよく地面を蹴り走り出した。