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「間桐は聖杯戦争における御三家のうちの一角、という認識でよかったでしょうか」
唐突にそう確認の問いを投げかけるリアムに、切嗣は肯定と何故わざわざ今その確認をしたのかという疑問を返す。
「間桐の家の少女に会いました」
「……そもそもサーヴァントが不必要に敵陣営の人物と接触するのは、あまり感心できたことじゃないな」
そう言って切嗣は厳しい視線を向ける。リアムの行動は、1歩間違えればこちらが不利益を被るかもしれなかった。
彼もその可能性を十分に理解していたはずだ。
申し訳ありません、と頭を下げる。
それでもリアムには、あの少女に会わねばならない理由があった。
それを促すように、黙ったままの切嗣に、リアムは静かに口を開いた。
「……少女の目に、光が無かった」
光?小さく言葉を漏らす切嗣に、えぇ。と頷く。
「目は口ほどに物を言う、とはよく言ったもので、大抵の人は目に光が宿るものです。
それは、生気であったり自信や希望の現れだっり……
あの少女……間桐桜の目にはその光が無かった。
悲しいことですが、ある程度経験を積み、多くの物事を見てきた大人が絶望を知り、その様な目になってしまったのなら、まだ分かるのです」
切嗣は、リアムの話に覚えがある。
自分も多くの悲惨な状況を見てきたからこそ分かることだった。
悲しげに伏せられたリアムの目が、けれどと尚言葉を紡ぐ。
「彼女は違う。まだ齢十になるかならないかの少女が、そのような目になってしまったことが異常だと、私は思います。
魔術師という者を私はよくは知りません。
けれどその異常を与え、黙認しているというのなら、それは相当な悪辣でしょう」
リアムは基本的に穏やかで、他人に対して友好的だ。
その彼が敵陣営に向ける警戒だけでなく、明らかな嫌悪感をも抱いている。
確かに、切嗣が調べた限りでも間桐の家から良い噂は出ては来ない。大抵魔術師というものは碌でもないものなのだが。
間桐の家は間桐臓硯を境に魔術回路の数が減り、没落の一途を辿っている。
その間桐からすれば、聖杯は喉から手が出るほど欲する物のはずだ。
けれど参戦したと思われるのは、正当な魔術師ではない間桐雁夜。
召喚したサーヴァントに圧倒的自信があるのか、それとも他に切り札を用意しているのか。
そうでなければ、何か“別の目的”があるのか……
「こっちでも調べておこう。
ただし、今後勝手な行動は控えてくれ」
リアムが頷くのを確認すると、舞弥にランサー陣営と並行して間桐も調べるよう連絡を入れた。