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金属同士がぶつかり合う激しい音が、夜のコンテナ群に響くさまは異様の一言であった。
ギルガメッシュが放つ武器を、バーサーカーが弾き返していく。
常人には追いつけない、サーヴァント同士の戦い。
リアムや他の者達は、マスターに被害が及ばぬよう警戒しながらもその戦いの行方を見守っていた。
その時だった。
バーサーカーの弾いた武器のいくつかが、ギルガメッシュの立つ電灯を切断した。
バラバラになった電灯から、ギルガメッシュが強制的に地面へと降り立つ。
その顔は憤怒に染まっていた。
「痴れ者が。点に仰ぎみるべきこの我を、同じ大地に立たせるか!その不敬は万死に値する!!」
ぶわりと、更に倍の数の黄金の波紋。そこから顔を覗かせる武器全てが、バーサーカーへと向けられる。
「そこな雑種よ、もはや肉片一つも残さぬぞ!」
しかし、その武器がバーサーカーへ放たれることは無かった。
ギルガメッシュは不意に空を睨みつけ、忌々しげに何事か言葉を吐くと、背後の武器を消してしまったのだ。
「命拾いしたな狂犬。
雑種共!次までに有象無象を間引いておけ。我とまみえるのは、真の英雄のみで良い」
そう尊大に告げると、ギルガメッシュは姿を消した。
「どうやらあれのマスターは、アーチャー自身ほど豪気な質ではなかったようだ」
イスカンダルはギルガメッシュの消えた方を見ながら、呟いた。
相手のいなくなったバーサーカーも、リアム達の方を暫し見つめていたが、同じように去っていった。
残された者達は改めて向き合うと、イスカンダルが口を開いた。
「聖杯戦争は始まったばかりだ、こちらも今回はお互い1度引くとせんか」
イスカンダルの提案は、ランサーとの戦いで傷を負ったリアムにとって有難い提案だった。
リアムは確認を取るようにアイリスフィールを見れば、彼女もコクリと頷く。
「私達は、それで構いません」
リアムがそう応えれば、ランサー陣営もその提案を受け入れたようだった。
セイバーのリアムには傷を負わせているとはいえ、この場にはライダーイスカンダルもいる。
ライダー陣営との共闘は、ケイネスのプライドに反する。
セイバーを倒せたとしても、ライダーと連戦となれば、少々部が悪い
そう考えれば、ケイネスがイスカンダルの提案を飲んだのは必然だった。
「うむ。ではセイバーよ、まずはランサーとの因縁を精算しておけ。その上でセイバーかランサーか、勝ち残った方と相手をしてやろう」
イスカンダルは微かに痙攣するリアムの指を見やる。
確かに、この傷を癒すために、リアムがランサーと戦うことは既に決まっている。
そしてランサーも、リアムとの再戦を望んでいた。
だから、イスカンダルが次に戦うとするならば、リアムかランサーかのどちらかだろう。
「次に会うときはまた存分に、余の血を熱くしてもらおうか」
イスカンダルは今だ気絶したままの自らのマスターを持ち上げ、呆れたようにため息をつくと「さらばだ」と戦車を操り空を駆けて行った。
「セイバー、お前との再戦を心待ちにしている」
ランサーもそう言葉を残すと、消えていった。
「私達も行きましょう、セイバー」
「はい、アイリスフィール」
そうしてリアムとアイリスフィールも帰路へと着けば、残されたのはただ静寂のみだった。