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キラキラとした黄金の粒子は、徐々に人の形を形成していく。
そうして街灯の上に姿を現したのは、黄金の鎧を身に纏った、金髪紅眼の男。
「我を差し置いて、王を称する不埒者めが一夜に2匹も湧くとはな」
「難癖つけられたところでなぁ……イスカンダルたる余は、世に知れ渡る征服王に他ならぬのだが」
突如現れた黄金のサーヴァントの不遜な言葉に、イスカンダルは困ったように反論するが、戯け。と、それさえも否定されてしまう。
「真の王たる英雄は、天上天下にただ我一人。後は有象無象の雑種に過ぎぬ」
「そこまで言うなら、まずは名乗りをあげたらどうだ。貴様も王だと言うならば、まさか己の異名をはばかりはすまい」
イスカンダルのその至極当たり前の問いに、黄金のサーヴァントの雰囲気が、ざわりと苛立つのが空気で分かる。
「問いをなげるか、雑種風情が。王たるこの我に向けて。我が拝謁の英によくしてなを、この面頬を見知らぬと申すなら」
ゆらりと黄金のサーヴァントの背後が揺らめくと、何百というの金の波紋を形成していく。
「生かしておく価値もないッ!!!」
その怒鳴り声と共に波紋から、剣先が現れる。いや、剣だけではない。それぞれの波紋から、槍や斧、様々な武器がその鋭い先端を覗かせる。
リアムはその光景に身を翻すと、急いでアイリスフィールを庇うように前に立ち、改めて己の剣を構えた。
見る限り、あの背後の武器一つ一つが宝具級の代物だろう。あれが全て一度に放出されるとするならば、防ぎきる自身がなかった。けれど、何が何でもアイリスフィールに怪我を負わせるわけにはいかない。
リアムが覚悟を決めたその時だった。
突如黒い光が渦を巻き、一瞬でその場の空気を変えた。
禍々しいその渦から姿を現したのは、全身に黒い鎧を身につけた男、バイザーから赤い光のみが漏れているのが不気味だ。
「Aaaaaaaaaa!!」
意味の無い咆哮あげるその姿は、正しく狂戦士。
イスカンダルのマスター、ウェイバーがステータスが見えないと、困惑と怯えの声で訴える。
「どうやら、あれもまた厄介な敵みたいね」
アイリスフィールの言葉に、リアムもコクリと頷いた。
「ええ、自身の正体を隠す能力か何かを持っているようですが、こういった状況下では、向こうも下手には動けないはずです」
リアムはもちろんのこと、イスカンダル、ランサー、黄金のサーヴァントの四人が、突如現れたバーサーカーを睨みつけ牽制していた。
「誰の許しを得て、我を見ている?狂犬めが」
睨み合いに終止符を打ったのは、黄金のサーヴァントだった。
背後の武器が、全てバーサーカーへと向けられる。
「せめて散りざまで我を興じさせてみよ、雑種」
一層の強い光を放つと、武器がバーサーカーへと放たれた。
攻撃による強い爆風が駆け抜ける。
しかし、黄金のサーヴァントが放った攻撃がバーサーカーへダメージを与えることはなかった。
「奴め、本当にバーサーカーか」
ランサーが驚愕に目を見開いた。
「狂化で理性を無くしたにしては、えらく芸達者な奴よのう」
魔術師ではあるが、戦闘においては常人であるウェイバーの目には何が起きたの理解が出来なかったが、イスカンダルが曰く、バーサーカーはまず最初に自分へと飛んできた剣を難無く掴むと、二撃目の槍を打ち払ったのだ。
確かにそれは、並の戦士でもそう簡単に出来ることではなかった。
しかしそれが、黄金のサーヴァントの怒りへと触れた。
「その穢らわしい手で、我が宝物に触れるとはそこまで死に急ぐか、狗ッ!!」
先程より倍の数の武器が、金の波紋から新たに剣先を覗かせる。
その規格外の攻撃手段に、ウェイバーもアイリスフィールも驚きを隠せずに声を上げた。
「その小癪な手癖の悪さでどこまで凌ぎきれるか、さぁ見せてみよ!」
黄金と黒。
今、二騎のサーヴァントの激しいぶつかりあいが、始まろうとしていた。