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空をかけ降りてきたのは、チャリオット。
それに乗っているのは、チャリオットを操る堂々とした筋骨隆々の大柄な男と、それとは真逆の不安げな表情をした小柄な青年だった。
「双方剣を納めよ、王の前であるぞ?
我が名は征服王イスカンダル!此度の聖杯戦争に於いては、ライダーのクラスを得て現界した!」
そう得意げに高らかと真名を晒す大柄な男、ライダーもとい征服王イスカンダル。
「何を考えてやがりますか、この馬鹿は!!」
何の相談も無しに真名を晒したライダーに、マスターらしき小柄な青年は驚愕に叫ぶも、ライダーのデコピンによって遮られてしまった。
「汝等とは聖杯を求めて相争う巡り合わせだが、まずは問うておくことがある。」
ライダーはリアムとランサー。双方を交互に見やり、大仰な身振りで言葉を続けた。
「汝等、ひとつ我が軍門に下り、聖杯を余に譲る気はないか!?
然すれば余は貴様らを朋友として、世界を制する快悦を共に分かち合う所存でおる!」
配下になり聖杯を譲れ、という驚きの提案するライダーに、ランサーは呆れたように首を横に振った。
「承諾しかねる。
俺が聖杯を捧げるのは、今生にて誓を交わした新たなる君主にだけ」
断じて貴様ではない。と、ランサーは鋭い目つきでライダーを睨む。
「申し訳ありません。征服王と謳われた貴方に誘われるとは、光栄の極みですが、私が共に戦いたいのは貴方ではない
それに私も、形式上は王だったので」
リアムも、困ったように眉尻を下げ断れば、ライダーは勿体ない、残念だとため息混じりに頭をかいた。
ただマスターらしき小柄な青年の、二度目の涙混じりの叫びだけが、夜のコンテナ群にこだまするのであった。
その直後だった。またどこからともなくランサーのマスターの声が聞こえてきたのは。
どうやらライダーのマスターとランサーのマスターは知り合いらしい。ただ威圧感のあるその声に、ひどく怯えた様子のライダーのマスターを見るかぎり、あまり仲は良くないらしかったが。
怯えきったマスターの背に、ライダーがその大きな手を添える。
そして、何処にいるとも分からないランサーのマスターへ声を上げた。
「おう魔術師よ!察するに貴様は、この坊主に成り代わって余のマスターとなる腹だったらしいな。だとしたら片腹痛いのう。余のマスターたるべき男は、余と共に戦場を馳せる勇者でなければならん。姿を晒すことも無い臆病者が、役者不足も甚だしいぞ!」
ライダーはそう言って豪快に笑ったと思うと、険しい顔で背後を振り返った。
「おいこら!他にもおるだろうが、闇に紛れて覗き見しておる連中が!」
「どういうことでしょうか、ライダー」
リアムの問いかけに、ライダーは親指を立て、笑みを浮かべた。
「セイバー、それにランサーよ。汝等のまっこうきっての戦い、まことに見事であった。
あれほど清澄な剣戟を響かしては、惹かれて出てきた英霊が、よもや余1人ということはあるまいて」
ライダーはそこまで言うと、天に手をかざす。
「聖杯に招かれし英霊は、今ここに集うがいい!
尚も顔見せに応じぬ様な臆病者は、征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものとする!!」
それは、ライダーが他のサーヴァント達へと向けた挑発であった。
そしてそれに応えるように、光の粒子が集まり始める。
「我を差し置いて、王を称する不埒者めが一夜に2匹も湧くとはな」
その言葉と共に街灯を足場に現れたのは、黄金の鎧を身に纏った金髪紅眼の男だった。