Grand Order
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夜更けのカルデア
昼間は賑やかなこの場所も、一部の夜勤職員を除き眠りに就いている。
それはサーヴァント達も同じで、大半は霊体化してしまうかどこかの部屋で作業をしているため、とても静かだ。
ただし、例外もある。
「ハッハッハ!坊主、飲んどるか。」
「飲んでるから叩くな!それに今は坊主という見た目ではないだろう」
バシバシと力強く背を叩くイスカンダルと、叩かれ顔を歪めながらも、どこか嬉しそうな諸葛孔明であるウェイバー。
「相変わらずだな、お前達は。」
「仲が良いのは何より。」
イスカンダルと孔明の向かいに座るディルムッドとリアムが笑う。
4人が居るのは食堂
机上にはいくつかの酒瓶と、数種のおつまみ。
どこからどう見ても酒盛りだった。
成長した姿ならば酒も飲めるだろうと、孔明をイスカンダルが誘い、鍛錬終わりだと通りかかったディルムッドを誘い、書庫に用があった帰りだというリアムを誘い、それならつまみでも作りましょうかというリアムの提案で、食堂でのこの4人による酒盛りが始まったのだ。
孔明の背を叩くのを止めたイスカンダルが、つまみに手を伸ばし、美味い!と上機嫌に笑う。
「それは良かった。エミヤに教えてもらったんです。」
嬉しそうなリアムにディルムッドが、あの赤い弓兵のエミヤかと尋ねれば、ええ。と肯定が返ってくる。
パリパリに焼かれた餃子の皮の中に、細かく切られたハムと、とろりと溶けたチーズ。
キャベツと塩昆布、ごま油を混ぜ合わせただけなのに美味しい塩昆布キャベツ。
他にも数品が並び、どれも酒のつまみにはもってこいだ。
こうして同じ皿からつまみを食べ、酒を飲み交わすことを、第四次聖杯戦争を体験した記憶を持つ孔明は、どこか感慨深く思う。
もちろんサーヴァントである彼ら3人は過去の聖杯戦争の事など記憶にない。
あの英雄王は別として、サーヴァントは座に帰ってしまえば、召喚された時のことは記録でしか知らないのだ。
孔明がまたこうして忠誠を誓ったイスカンダルに再び会えたのも。一つの願望機を巡り戦ったサーヴァントが仲間として酒を組み合わすのも。本来ならばきっと有り得ない、人理の危機がおきたことによる災害の中での、奇跡のような出来事なのだ。
「なんだ坊主、杯が空ではないか!今は飲め飲め!そうだ、英雄王でも呼ぶか。彼奴の持つ酒は美味いからな。」
「「それは止めろ!!」」
孔明とディルムッドの必死の形相に、イスカンダルが笑えば、リアムも楽しげに笑みを零した。
笑顔は絶えることなく、酒盛りはまだ暫く続くだろう。