zero
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
風が木々を揺らしている。それに合わせて木漏れ日も形を変えていた。
森の中にどこか隠れるように、1件の小屋が建っていた。
穏やかな空気の中、子供の笑い声が聞こえる。
父親と母親と幼い兄妹、そして少年の5人家族。
これは夢だ。遠い昔の断片的な記憶。
森に響く軍靴の音は崩壊の始まりだった。
泣き叫ぶ家族を背に少年は1人、大切な家族を守るために自らを犠牲にすることを選んだのだ。
王が死に、貴族達の身勝手な都合で少年は、次の王へと召し上げれた。
傀儡の王として生きた彼の人生は、革命家たちによって終わりを告げた。
革命家達を先導していたのは、弟だった。
処刑台に拘束された彼が最後に見たのは、絶望した弟の顔。
守りたかったはずの家族のその顔に、彼は自分の間違いを悟った時、刃物が振り下ろされた。
目覚めたそこは、森の中でも処刑台でもない、アインツベルン城の一室だった。
「切嗣、泣いているの?」
隣で眠っていたアイリスフィールの心配する声に、切嗣は小さく首を振った。
「夢を、見ていたんだ」
そのままゆっくりと目を瞑る。
彼もどこかで1人、泣いているような気がした。