きみにあいに
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「わたし、何もしてませんよ?人と、関わるの苦手ですし、アルバイトもわざと人があまり来なさそうなお店、選んだんです。善逸くんなんかに好きになってもらうようなこと…なにも…」
振り向いた善逸くんが少し驚いた顔をして、でもすごく優しい笑顔で笑っている。
「俺がなんであの店通ってるか、分かる?」
「いいえ。」
「きみがいるからだよ。」
最初は、ホントに偶然ふらっと寄っただけだった。初めて、本を買ったあの日。
「きみに話しかけられて、単純に可愛いな、って思って。なんとなく、次の日も遊びに行ってさ。その次の日も。」
俺、本当は本読むフリして、なまえちゃんのこと見てた。なまえちゃんが、空いた時間に本を読んでるの、ずっと、見てたよ。
「そしたら、可愛いじゃなくて、キレイだなって。おかしいよね、同い年の女の子にキレイだなんて。でも、キレイだったんだよ。もう目が離せないくらい。」
本を読んでるきみがあまりにもきれいだったから。
それは私のセリフだ。
本を読んでいるあなたの真面目な表情が、ステキだな、って。
ああ、そうだ。
あれは私も読んでいる本をあなたが読んでいた時。
「私も。」
「善逸くんが本を読んでる姿…す、す、素敵だな、って…思って…ました。」
俺ステキだなんて言われたことない!!!めっちゃ嬉しい!!!!
私の手をぎゅうっと握って目に涙を浮かべている。
うん、本当に嬉しそう。
私も…彼のように素直になりたい。
善逸くんを見ていたら少しだけ勇気が出た。
「人と、話すの苦手ですけど善逸くんとはもっと話してみたいな、って思えました。善逸くんのことはもっと知りたいな、って思います。」
だから
今のなし、なんて言わないでください。
「えっと…顔真っ赤だね。」
「…からかわないでください。」
「可愛い。」
「……もうっ!!!」
「へへ、」
本当に遅くなっちゃったし、送るよ。
そういって差し出された手をしっかりと握り直して。
「また明日、きみに会いにいくね。」