にらめっこ
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今日はマンガか。
ぱらぱらとページを捲り、好きなマンガでも見つけたのか、じっと読みふけっている。
私はこの時間が好きだ。
彼と二人きりになれるこの静かな時間。
人付き合いが苦手だから、
あえてお客さんがあまりこなさそうな今どき本しか扱ってない、小さな町の本屋さん。ここなら人と関わる時間も、話す時間も最低限で済む。だからバイト募集の貼り紙をたまたま見つけた時は思わず履歴書も持たず店に飛び込んだ。
案の定、お客さんが沢山来ることもなく穏やかな時間を過ごせている。
彼が通い始めてすぐくらいの時、レジに持ってきた本が私の大好きな本だったのでつい話しかけてしまったことがあった。
「あ、この本…。」
「え?」
あの時はしまった、なんて思ったもんだけどどうやら彼も好きな本だったみたいで。
キミも好きなの!?嬉しい!!!って。あの時のキラキラした目が忘れられないんだよね。
「また、オススメの本あったら教えてくれませんか?えっと…なまえちゃん?」
私の名札を見てニコッと笑った彼。
ホントにそれからは、
本を買いにレジに来る度、何かしら私に声をかけていくようになった。
人と関わるのが苦手な私もなんでか知らないけど、彼と話すのは嫌じゃなかった。
彼は時々友達を連れてくることもあった。
この前は本棚の陰に隠れてなにやらこちらをチラチラ覗き見ながらコソコソ話をしていたっけ。
たまに目が合うと、彼は控えめに手をふった。
「この前、お友達と来てた時はどんな本を読んでたんですか?」
「えっ!?あ、あああのとき!?あのときは本というか…えっと…。」
何故か真っ赤になる彼。
(あ…察した。)
「ご、ごめんなさい!気にしないでください!」
そうだよね、高校生の男の子だったら、そういう本も見たりするよね!!
「へっ?いや、あのなんか誤解してない!!??やだやだやだ!!!俺、断じてそーゆー本読んでたわけじゃないからね!!!」
信じてよおおおおお!!!なまえちゃぁぁぁぁん!!!!
なんて、必死に泣きべそかいて弁解するものだから私はついおかしくてバイト中なのも忘れてた思わず笑ってしまった。
「……かわいい…」