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兼七

米沢の夏は暑い。
ジリジリと照りつける太陽の下、蝉たちの合唱と子どもたちが野山を駆け回る声が響き渡る。水田では水を求め、たくましく根を張った稲が競い合うように背を伸ばし、まだ実をつけたばかりの稲穂を風に揺らしていた。
むせかえるような青臭い稲の香りに、ああ、夏の香りがすると感じるようになったのは一体いつからだろうか。令和の世では、夏といえば冷房がきいた室内で音楽を聴いたり雑誌を呼んだりすることが多かった大和だったが、この異世界で暮らすことを決めてからは季節を感じ、自然の香りや音とともに生きていた。
たらりと汗が頬をつたう。喉の乾きを覚え、腰にさげた竹筒で作った水筒の中の水をぐびりと喉に流し込む。道中で出会った民の話では屋敷はもうすぐそこのはずだ。大和はしっかりと大地を踏みしめ、足早に歩みを進めた。


「大和!! 」
ようやく辿り着いた

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