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彼と彼のサブ話

燃えるような赤髪を持った男はその日その時堪らず悲鳴をあげた。
男は普通のサラリーマンであった、人より少しIT系に強いだけの、独り身の男であった。


ブラウンの髪を後ろにきつく流した男に突如手を掴まれたのだ。
あまりにも堅気には見えない面構えをしていたものだから、もとより気の弱かったサンソンは驚きと恐怖で声を上げずにはいられなかったのだ。
相手も驚いた顔をしていた、アンバーの瞳がぶわりと膨らむのがハッキリとわかった。
サンソンはそれを見た時筆舌しがたい何かに一瞬身を焼かれた気がしたが、それが何なのかは分からなかった。


「名前は?」

「サ…サンソン……」

「そうか…ではサンソン怯えるな、いい歳をした男が……」

ふと、いつかこんな会話をしたことがあるような気がした。だが目前の男の様な者と関わる人生は送ってきてないと断言できるし(サンソンは根っからのギークであった)彼はその既視感に戸惑いを隠せなかった。


「あ、あんたの名前は?」


「俺か……俺は」




「俺の事はザックと呼んでくれ、ああいや本名は違うんだが………」



「ザック」



オールバックの男は満足げに頷き、そして"進んで行こう(progress)"と言った。
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