彼と彼のサブ話
ザカリー・ポッターに出会えていないと気がつけたのは、ハッカーがとある人生の幕を下ろそうとしていた間際だった。
見飽きてきた走馬灯のなか、黒髪の男がふと蘇ったのだ。
ああそう言えばここ最近見ていないな、と思いながら死んだ。
彼はこの人生ではヒーローだった。
ヒーローとして人々を救い死んだのだった。
次の人生からはハッカーは積極的にザカリー・ポッターを探しにかかった。
今までが異常だったのかもしれない。
何もせずともそこそこの頻度で二人は出会えていたのだから。
しかしハッカーはザカリー・ポッターに出会うことが出来なかった。
それこそザカリー・ポッターの知り合いであろう存在は見つけられたのに。
ある人生はザカリー・ポッターが確かに居た。
しかしハッカーがその情報を得て、急いで見に行った時には彼は殺されていた。
惨殺だった。写真で見た限りではただの赤と細切れ肉しか写っておらず、とてもザカリー・ポッターだとは思えなかった。
ハッカーがザカリー・ポッターを探せど探せど彼には会えなかった。
ザカリー・ポッターが存在しない人生と、ザカリー・ポッターが存在していたが何かしらの形で消えてしまった人生。
どちらが多いか数えるのも億劫になって、途中でやめてしまった。
ハッカープログレスは回願する。
あの黒髪に、金色の眼を持った男に出会うことを夢見て。
それから何百何千回後のある人生で、ハッカーはハッカーとして生まれた。
本名がハッカー本来のものであった。
それに髪も淡い栗色、瞳も濃いめのカリビアンブルーだった。
身長と足の大きさはさすがに違ったが、母の名も父親の名も同じだった。
ハッカーはザカリー・ポッターに纏わる全てを洗いざらいに調べた。
時には政府をハッキングする危険もおかした。
そうして見つけた。ザカリー・ポッターを。
極東の戦争派遣から帰ってきた軍人の1人だった。
A区の端で、鍵屋を営んでいるそうだ。
それを知ったハッカーは走りに走った。
上司に午後から有給を使うと叩き付け。
ヒーロー支部の職場を文字通り足で去った。
走った。息が切れ顔が桃色になっても走った。
ただただ一目だけでもあの黒髪を、あのアンバーの瞳を、見られたらそれでよかった。
そうしてそこに着いた。
A区の端、さほど繁盛もしてなさそうな一見パブのような寂しさを感じる店。
店の壁は通りに向けて1面ガラス張りになっていた。
ガラスには所々横文字で洒落た何かが描かれてはいたが、それ越しでも確かに見えた。
黒髪の、煙草を口に咥えた長身の男が確かにそこに居た。
ザカリー・ポッターだった。
見飽きてきた走馬灯のなか、黒髪の男がふと蘇ったのだ。
ああそう言えばここ最近見ていないな、と思いながら死んだ。
彼はこの人生ではヒーローだった。
ヒーローとして人々を救い死んだのだった。
次の人生からはハッカーは積極的にザカリー・ポッターを探しにかかった。
今までが異常だったのかもしれない。
何もせずともそこそこの頻度で二人は出会えていたのだから。
しかしハッカーはザカリー・ポッターに出会うことが出来なかった。
それこそザカリー・ポッターの知り合いであろう存在は見つけられたのに。
ある人生はザカリー・ポッターが確かに居た。
しかしハッカーがその情報を得て、急いで見に行った時には彼は殺されていた。
惨殺だった。写真で見た限りではただの赤と細切れ肉しか写っておらず、とてもザカリー・ポッターだとは思えなかった。
ハッカーがザカリー・ポッターを探せど探せど彼には会えなかった。
ザカリー・ポッターが存在しない人生と、ザカリー・ポッターが存在していたが何かしらの形で消えてしまった人生。
どちらが多いか数えるのも億劫になって、途中でやめてしまった。
ハッカープログレスは回願する。
あの黒髪に、金色の眼を持った男に出会うことを夢見て。
それから何百何千回後のある人生で、ハッカーはハッカーとして生まれた。
本名がハッカー本来のものであった。
それに髪も淡い栗色、瞳も濃いめのカリビアンブルーだった。
身長と足の大きさはさすがに違ったが、母の名も父親の名も同じだった。
ハッカーはザカリー・ポッターに纏わる全てを洗いざらいに調べた。
時には政府をハッキングする危険もおかした。
そうして見つけた。ザカリー・ポッターを。
極東の戦争派遣から帰ってきた軍人の1人だった。
A区の端で、鍵屋を営んでいるそうだ。
それを知ったハッカーは走りに走った。
上司に午後から有給を使うと叩き付け。
ヒーロー支部の職場を文字通り足で去った。
走った。息が切れ顔が桃色になっても走った。
ただただ一目だけでもあの黒髪を、あのアンバーの瞳を、見られたらそれでよかった。
そうしてそこに着いた。
A区の端、さほど繁盛もしてなさそうな一見パブのような寂しさを感じる店。
店の壁は通りに向けて1面ガラス張りになっていた。
ガラスには所々横文字で洒落た何かが描かれてはいたが、それ越しでも確かに見えた。
黒髪の、煙草を口に咥えた長身の男が確かにそこに居た。
ザカリー・ポッターだった。